専門委員会成果物

アメリカ合衆国 第8条使用宣誓書の審査に関する商標規則の改正

米国特許商標庁(USPTO)は、2017年3月21日より第8条に基づく使用宣誓書の審査に関する使用宣誓書にかかる改正商標法規則を適用した。
これにより、第8条使用宣誓書に関する審査が厳格になり、登録された指定商品・役務について米国において商業的に使用されているかの確認が必要と判断した場合は、審査官は追加証拠として情報、証拠書類、 宣誓書、追加の使用見本を要求できることとなった。
なお、第8条使用宣誓書に相当する第71条使用宣誓書(マドプロでアメリカを指定国とする場合に適用)の審査に関しても同様の改正商標法規則が適用される。

(NGB、他)    

中国 改正商標審査及び審理基準を公布

2017年1月4日、国家工商行政管理総局は改正商標審査及び審理基準を公布した。音声商標審査基準、審査意見書の運用基準、商標法第10条(使用が禁止される商標)の審査基準、商標法第15条2項 (冒認出願の禁止)の審理基準、商標法第19条4項(商標代理機構)の適用基準、商標法第50条(失効後一年間の出願禁止)の適用基準、利害関係者の認定基準、等が補充または改正された。特に重要と思われる 補充・改正点は以下の通り。
  1. 審査意見書の運用基準
    今回の改正により、以下の場合等に審査意見書が適用されることとなった。
    • 外国の国名、国際組織の名称等と同一又は類似するが、当該国の政府又は当該国際組織の同意を得ている商標。
    • 使用により識別力を有するに至った商標。
    • 識別力を欠く構成要素を有する商標であるが、商標の修正によって当該拒絶理由を解消できる商標。
  2. 商標法第15条2項の適用基準
    同条2項は、他人の商標が先使用であることを明らかに知っていながら冒認出願することを禁止する規定である。今回の改正により、「先使用」とは、冒認出願の前に、中国で販売、宣伝、 又は上市のための準備を行っていたことを意味するものであり、商標が使用によって一定の影響力を有していることを証明する必要はないとされた。
  3. 商標法第50条の適用基準
    同条は、登録商標が取消、無効または未更新による満了で失効した場合、取消、無効又は満了の日から1年以内は、同一又は類似の商標の登録を認めないことを規定している。 今回の改正により、以下の場合には同条が適用されないことが明示された。
    • 前権利者と同一出願人による商標出願の場合。
    • 先行商標が三年不使用取消で取り消された場合。
    尚、今回の改正商標審査及び審理基準は、改正前に出願された商標にも適用される。

(NGB、他)    

韓国 スマート商標審査システムを運用開始

韓国特許庁(KIPO)は、2016年12月12日よりスマート商標審査システムの運用を開始した。
当該システムには以下の機能等が搭載され、商標審査の品質向上が期待される。
  • エラーチェック機能
  • 通知書自動作成機能
  

(JETRO、他)   

インドネシア 改正商標法施行

インドネシア改正商標法が2016年11月25日施行された。同年12月26日付商標トピックスでも紹介したが、改めて主な改正事項を整理すると以下のとおりである。
  • 非伝統的商標の保護:立体商標・音声商標・ホログラム商標が保護対象として認められることになった。
  • 公告と異議申立てに関する変更:出願後15日以内に出願公告され、その後2ヶ月間が異議申立て期間となった。旧法下では実体審査後に公告され、異議申立て期間は3ヶ月間であった。
  • 更新期間の変更:旧法下で満了前12ヶ月であったのが満了前6ヶ月に短縮されたが、追加費用を支払えば満了後6ヶ月以内の更新が可能となった。
  • 譲渡に関する変更:出願継続中の商標も譲渡できるようになった。旧法下では登録後のみ認められていた。
  • 刑事罰の強化:商標権侵害における罰金額や懲役期間が場合により従来の倍になる等の強化が図られた。
  • マドプロ関連:マドリッド・プロトコルへの加盟に向けた国際登録に関する規定が追加された。

(NGB、他)   

EU ルービックキューブの立体商標に無効判決

2016年11月10日、EUの最高裁にあたる欧州司法裁判所(ECJ)は、ルービックキューブの立体商標登録を無効とする判決を下した。本商標権は英国のルービックキューブ管理会社名義で1999年に共同体商標として 登録されていたもので、これに対してドイツの玩具会社が2006年に登録無効審判を提起した。審決や一審判決では商標権有効との判断がなされていたため、前記玩具会社が上訴していた。欧州司法裁判所は技術的成果や 機能的特徴は商標権ではなく存続期間が有限である特許権等によって保護されるべきであると示した。 

(NGB、他)     

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