「知財管理」誌

Vol.46 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 46巻(1996年) / 3号 / 365頁
論文区分 論説
論文名 特許製品の並行輸入の適法性について
著者 フリードリヒ・カール・バイヤー、染野啓子(訳)
抄録 本稿においては、特許製品の並行輸入が、ドイツ法及びヨーロッパ法によっていかに判断されるべきかという問題を検討したいと考える。回答すべき法律問題は、具体的には次のとおりである。すなわち、特許権者の承諾なしに第三者によって輸入された製品が、特許権者自身によって輸出国の市場で販売されたものである場合、輸入国における排他的特許権の侵害となるかということである。この場合、同一内容の特許権が存在するものと仮定しよう。この問題への解答にとっては、いわゆる国際的消尽の原則が焦点に置かれている。商標法において広く認められているこの原則は、特許法においても適用されうるものなのか、それとも特許法においては、国内的消尽の原則、すなわち国内における特許製品の販売のケースのみについて消尽の原則が適用されうるのか。この問題の解答に対し、ヨーロッパ連合の範囲での消尽原則がいかなる影響を与えるのだろうか。本稿では、先ず、「現況」(Ⅰ)において、ドイツの判例及び学説の示す見解を説明し、若干の比較法的考察をつけ加えたいと考える。次にこれに基づいて、Ⅱにおいては特許権の国際的消尽の原則に対する賛否の論議を検討したいと思う。
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