専門委員会成果物
IPRで一度無効になったクレームが,手続上違反があったとしてUSPTOに差戻しになった事例
CAFC判決 2016年11月9日In re:NuVasive, Inc.
[経緯]
NuVasive, Inc.(N社)は,脊髄外科手技用インプラントに関する米国特許(8,187,334)を所有している。Medtronic, Inc.(M社)は,’334特許に対してIPR2013-507(IPR507)とIPR2013-508(IPR508)の 2件のIPRをUSPTOに請求した。2件のIPRは,先行文献の米国特許5,860,973(Michelson)に依拠していた。上記2件のIPRによって,’334特許のほとんどのクレームが非自明性なしと審判部に判断された。しかしながら,N社は,それに対して控訴した。
[CAFCの判断]
結論として,CAFCはIPR507で無効になったクレームを無効と維持したが,IPR508で無効になったクレームを審判部に差し戻した。無効を維持された理由は,IPR507の請願書に,’334特許のクレームを示唆するMichelsonの図18の内容が最初から記載されていたからである。
一方,無効になったクレームを審判部に差し戻した理由は,手続上,審判部が依拠する新たな理由があれば,N社に応答するための新たな機会を与えるのは明白であるが,IPR508の請願書にIPRで主な無効理由となった Michelsonの図18の内容は当初記載がなかったにも関わらず,新たな無効理由として,M社の答弁への応答時に主張され,新たな無効理由に対してN社が口頭審理等で応答を試みたが,審判部がN社の応答することを 許さなかったとCAFCが判断したためである。
(桑野 陽一郎)
