専門委員会成果物
欧州特許庁が新たな異議申立手続きの導入を発表
欧州特許庁(EPO)は,異議申立手続の簡略化と迅速化のため,2016年7月1日から合理化された新手続を導入すると発表した。EPOは,今回の新手続きの導入によって,複雑でない事件における,異議申立期間満了時から異議申立の決定までの全体の期間を,19〜27カ月から15カ月以内にすることを目標としている。
今回のEPOニュース,及び付随情報のEPOオフィシャルジャーナル(A42,A43)で示された,新手続のポイントは以下の通り。
- 異議申立書を受領後,特許権者が答弁書を提出する4カ月の期限に関し,従来は理由の立証なく認められていた期限の延長が,例外的な場合に制限される(特許権者が延長を 認めるべき例外的場合に当たることについて,十分に立証した場合にのみ延長が認められる)。
- 特許権者の答弁に対し,従前は申立人に応答を求める通知の機会が与えられるケースが多かったが,新手続では,特許権者の意見書が出ると,異議申立人に通知されるとともに,異議部が次の手続(ほとんどの場合,口頭審理召喚の手続)の準備を始めることとなり,異議部は必要と認めた場合のみ申立人に応答を求める通知を行う。
- 異議部からの通知に対する応答の期間は,実体問題に関するもので4カ月,その他の通知に対しては2カ月に制限される。また,延長は例外的な場合に制限される。
- 口頭審理は,原則として召喚から6カ月経過した日以降に開催される。口頭審理のための意見書,補正書の提出は口頭審理の2カ月前に設定される。
EPOニュース(2016年6月13日)
http://www.epo.org/news-issues/news/2016/20160613.html
EPOオフィシャルジャーナル(2016年5月)
http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2016/05/a42.html
http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2016/05/a43.html
(参照日2016年6月17日)
(阿部 泰之)
