外国特許ニュース

〈中国〉中国専利審査基準改正の決定

 2016年11月28日付けニュースで〈中国〉専利審査指南改正草案(パブリックコメント)の情報を紹介しました。
 2017年2月28日,「中国専利審査基準改正の決定」が専利局より公布され,2017年4月1日から正式に施行されました。
 今回の改正内容は専利審査基準の13箇所に関わりますが,その中で特許業務に関する主な内容が下記の5点です。
  1. ビジネスモデル発明専利について
     「ビジネスモデルに関するクレームにおいて,ビジネス規則と方法以外に技術的特徴も含む場合,単純な人間の知的活動と認定して専利権を取得する可能性を排除してはならない」と改正されました。
    この改正内容は,ビジネスモデル発明専利に対する審査が緩められる傾向を示します。しかし,ビジネス方法を含むクレームにおいて,技術的特徴は通常従来技術手段であるため,クレーム自体が 専利保護対象になったとしても進歩性の理由で拒絶される可能性もあります。
  2. 記録媒体に関するクレームについて
     「単に媒体(例えばテープ,ディスク,光ディスク,光磁気ディスク,ROM,PROM,VCD,DVD又はその他のコンピュータで読み取り可能な媒体)に格納されているコンピュータプログラム」を「単に媒体 (例えばテープ,ディスク,光ディスク,光磁気ディスク,ROM,PROM,VCD,DVD又はその他のコンピュータで読み取り可能な媒体)に格納されているコンピュータプログラム自体」に改正されました。
    専利保護対象が「コンピュータプログラム」から「コンピュータプログラム自体」に改正されました。「コンピュータプログラム自体」という概念を導入することで,プログラムコード又はプログラム言語では ない通常の言語で記載されたプログラム処理に関わる内容で限定された記録媒体は保護対象になりました。
  3. 装置クレームについて
     装置クレームをプログラムで限定する方法を受け入れました。つまり,発明がプログラム自体にあっても,プログラムで装置クレームを限定して保護を受けられるように改正されました。 現在まで,発明がプログラム自体にあった場合,クレームの作成時にはプログラムを機能モジュールに限定して装置の一部として作成しましたが,改正後からは直接「プログラム」にすることができます。
  4. 実験データの追加提出について
     「出願後に実験データを追加提出することができ,審査官はこの実験データを審査しなければならない」と規定されました。尚,追加提出した実験データによって奏する技術効果は当業者が公開文献から 得られるものでなければなりません。
  5. 無効審判の補正について
     無効審判の補正を「クレームの削除,合併又は技術案の削除」から「クレームの削除,技術案の削除,クレームの限縮的限定,明らかな誤記に対する修正」に改正されました。
     「クレームの限縮的限定」は他のクレームに記載された一つ又は複数の技術特徴を追加して保護範囲を縮小する方法を言います。今回の改正では,他のクレームに記載された一つの技術案で 限定するしかなかった昔の規定から,他のクレームに記載された一つの構成要素で限定できるように改正され,明らかな誤記を修正できるようにして,専利権者が無効審判の補正でもっと 容易に対応できるようになりました。

「国家知識産権局令第七十四号「『専利審査指南』の改正に関わる決定」公布
(リンク:http://www.sipo.gov.cn/zwgg/jl/201703/t20170302_1308618.html
(参照日2017年4月10日)

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