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〈インド〉コンピュータ関連発明(CRIs)ガイドラインの再改訂

 批判が多く寄せられていた2016年2月公表の改訂版CRIsガイドラインにおける「新規ハードウェア」要件が削除され,クレーム全体を総合して実質的に判断されることとなった。
  1. 背景
     インド特許法3条(k)では,特許法の趣旨に該当する発明でないものとして「数学的若しくはビジネスの方法又はコンピュータプログラムそれ自体若しくはアルゴリズム」を定めている。
     この取扱いに関し,2016年2月公表の改訂版CRIsガイドラインでは,以下の要件を定めていた。
    1. (1)クレームを適切に解釈し,実質的な貢献を特定する。
    2. (2)その貢献が数学的若しくはビジネスの方法又はアルゴリズムだけにある場合は,クレームを拒絶する。
    3. (3)その貢献がコンピュータプログラム分野にある場合,それが新規ハードウェアに関連付けてクレームされているか否かを確認し,当該発明の特許性を判断する別の手順に進む。コン ピュータプログラム自体には特許性はない。当該貢献がコンピュータプログラムのみにある場合,クレームを拒絶する。当該貢献がコンピュータプログラム及びハードウェアの両方にある場合, 他の特許性判断のステップに進む。

     しかしながら,特に上記(3)の「新規ハードウェア要件」について多くの批判が寄せられたため,今回さらに再改訂が行われることとなった。
  2. 今回の主な改正点
     再改訂版では,上記の要件は削除され,「重要なことは,クレーム全体を総合して実質的に判断することである」として,クレームがどのような形であろうと,実質的に発明が3条(k)で 定める不特許事由に該当しない場合は特許性が否定されないことが明言された(再改訂版CRIsガイドライン4. 5)。不特許事由に該当すると判断されるクレームとしては以下のものが挙 げられている(同ガイドライン4. 5. 1〜4. 5. 4)。
    1. (1)数学的方法
      計算方法,方程式の公式化,平方根や立方根を求める方法及びその他同様の知的技能を伴う行為を対象とするクレームが該当する。抽象的なアイデアの単なる操作又は実際の用途を指定しない 純粋に数学的な問題/方程式の解決もここに含まれる。
    2. (2)ビジネスの方法
      商業的又は産業的企業における商品又はサービスの取引に関連するありとあらゆる活動を対象とするクレームが該当する。
    3. (3)アルゴリズム
      あらゆる形態のアルゴリズムを対象とするクレームが該当する。
    4. (4)コンピュータプログラムそれ自体
      コンピュータプログラム/一組の命令/ルーチン及び/又はサブルーチンを対象とするクレームや,コンピュータで読み取り可能な媒体に保存されたコンピュータプログラムそれ自体を対象とするクレームが該当する。

(参考ウェブサイト)
1)http://www.ipindia.nic.in/writereaddata/Portal/Images/pdf/Revised__Guidelines_for_Examination_of_Computer-
related_Inventions_CRI__.pdf

2)https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/in/ip/pdf/news_20170703.pdf

3)http://updates.anandandanand.com/new-day-computer-inventions-novel-hardware-not-requirement-anymore/

(URL参照日は全て2017年9月6日)

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