外国特許ニュース

〈ブルネイ〉日本とブルネイ間で「PPHプラス」がスタート

 2017年8月28日,日本国特許庁は,ブルネイ知的財産庁との間でPPHプラスに関する協力に合意した。このPPHプラスは,2017年10月1日から3年間行われる。
 PPHプラスとは,正式には特許審査ハイウェイ・プラス(Patent Prosecution Highway Plus)と呼び,日本国特許庁と所定知財庁との合意に基づき,日本で特許付与された出願の出願人が,所定知財庁へ申請することにより,同出願人の所定国における同内容の特許出願について,日本の審査結果を踏まえ,日本出願と同内容の権利を迅速に取得可能とする枠組のことを言う1)。
 この枠組は,海外の所定知財庁において,日本の審査結果の活用を促進するものであり,出願人が海外でも日本で登録された特許と同様の特許を早期に取得することを目的としている。
 今回,ブルネイ知的財産庁との間で,日本国特許庁がPPHプラスの合意を得たことから,出願人がブルネイ知的財産庁にPPHプラスの申請を行ってからおよそ2か月以内に迅速な権利付与が行われることが見込まれる2)。
 出願人は,下記の申請要件を満たし且つ日本出願を基礎とした出願であって,ブルネイ知的財産庁への出願につき,実質的な審査を経ることのない早期の特許付与を申請することができる。

(1)PPHプラスを申請するブルネイ出願および対応する日本出願において,優先日あるいは出願日のうち,最先の
  日付が同一である。
(2)対応する日本出願が存在し,すでに特許査定が通知されている。
(3)PPHプラスに基づく審査を申請する出願のすべての請求項が,対応する日本出願の特許査定された一又は
  複数の請求項と十分に対応しているか,十分に対応するように補正されている。

 手続き面では,PPHプラスを申請するために,ブルネイ特許令第29(2)(c)条に基づくPatents Form 14の提出と同時に,PPHプラス申請フォームをブルネイ知的財産庁へ提出する必要がある3)。
 上述のように,今回のPPHプラスは,2017年10月1日から3年間行われる。但し,この期間の終了後に本格的に実施をするか否か,或いは,本格的に実施をする場合の更なる条件を決定するために,本PPHプラスのプログラムが評価される。
 プログラムの申請件数が管理可能な水準を超えた場合や,その他の理由により,PPHプラスのプログラムが早期に終了することがある。本PPHプラスのプログラムが終了する場合は,その旨が公表される。
 ブルネイはASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラムにも加盟しているので,出願人にとっては,当プログラムの他に,PPHプラスが新たに導入されたことで,他の出願国や審査状況を見ながら,審査促進を行う際の選択肢が広がることになる。

(参考ウェブサイト)

1)https://www.jpo.go.jp/seido/kokusai_doukou/kakkoku/brunei/pph_plus_guideline.htm

2)http://www.meti.go.jp/press/2017/08/20170829003/20170829003.html

3)前掲1)URL内,ブルネイPPHプラスガイドラインを参照

(参照日:2017年11月26日)

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