専門委員会成果物

CAFCが,ITCの制裁の決定には,裁量権の乱用はなく,支持すると結論づけた事例

CAFC判決 2017年2月15日
Organik Kimya, San. Ve Tic. A.S. et al. v. ITC

[経緯]

 Dow Chemical Company(D社)は,Organik Kimya, San. Ve Tic. A.S.(O社)の不透明ポリマー製品がD社の特許を侵害しており,また,O社が不透明ポリマー製品の製造に関し, D社の元従業員から営業秘密を入手して不正流用を行ったとして,O社をITCに訴えた。
 ITCの行政法判事(ALJ)は,O社は開示手続き命令を受けた後に,広範囲な証拠の毀棄を行っていると認定し,O社に不利な欠席裁判(default judgment)の制裁を科すことを決定した。
 また,ITC(Commission)は,ALJが決定したdefault judgmentの制裁を支持し,更に,O社がD社の営業秘密を使用しなかった場合に,同等のポリマーを開発するのに25年かかると考え,O社に対し,25年間の限定的排除命令を発令した。O社は控訴した。

[CAFCの判断]

 CAFCは,default judgmentの制裁を科すか否かは,19 C.F.R. §210.33(b)及びFederal Rule of Civil Procedure 37(b)の基準に従って考えられるものとし,O社の不誠実な行為は,default judgmentの制裁に該当すると判断し,Commissionが決定した,default judgmentの制裁に対して,裁量権の乱用は無かったと認定した。
 また,CAFCは,default judgmentの中で行われたCommissionが発令した25年間の限定的排除命令に対しても,Commissionは限定的排除命令の期間を決める際に,専門家証言(expert testimony)を勘案しており,裁量権の乱用は無かったと認定した。
 次の通り,CAFCは,ITC(Commission)の決定を支持した。

(野村 亮介)

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