専門委員会成果物
米国内外での特許製品の販売により，その制限の有無に関わらず特許権が消尽すると判断した事例
最高裁判決 2017年５月30日Impression Products, Inc. v. Lexmark International, Inc.
［経緯］
Lexmark International, Inc.（Ｌ社）は，トナーカートリッジを米国内外で販売しており，関連する米国特許を複数保有している。Impression Products, Inc.（Ｉ社）は，トナーカートリッジの再生業者であり，�。娘劼�米国内で販売した再使用と再販売が制限されたカートリッジのトナーを補充して，米国内で再販売した。 また，Ｉ社は，�■娘劼�米国外で販売したカートリッジを入手し，トナーを補充して米国に輸入した。
Ｌ社は，上記� き△旅坩戮紡个靴董ぃ票劼鯑探�権侵害で提訴した。一方，Ｉ社は，Ｌ社の特許権は米国内外でカートリッジを販売した時点で「消尽」したため，特許権は存在しないとして訴訟却下を求めた。
これに対し，CAFCは，米国内外でのカートリッジの販売によって米国特許権は消尽しないと判断した。
上記�，諒胴馥發任糧稜笋坊犬�CAFCの判断は，特許権の消尽が，特許製品の購入者に対して特許製品を使用したり販売したりする「権限」を「推定」的に付与するものであるとの解釈に基づく。 Ｌ社によってカートリッジに付された制限により，上記「推定」が覆され，カートリッジの販売後も特許権の効力が有効に働くと判断された。
また，上記�△諒胴餝阿任糧稜笋砲弔い董て探�製品を米国外で販売することは，米国特許権とは直接関係しないため，米国特許権が消尽することはないと判断された。
［最高裁の判断］
最高裁は，米国内外でのカートリッジの販売によって米国特許権は消尽するとし，CAFCの判断を覆した。上記�，諒胴馥發任糧稜笋坊犬觝嚢盧曚糧獣任蓮て探�権の消尽とは，特許製品を使用したり販売したりする「権限」を「推定」的に付与するものではなく，特許権者の権利の「範囲」を 制限するものである，との解釈に基づく。Ｌ社がカートリッジを販売した時点でL社の米国特許法上の権利「範囲」は消尽したと判断した。
また，最高裁は上記�△諒胴餝阿任糧稜笋砲弔い董な胴餝阿任寮掬�な販売は，国内販売と同じく，特許法上の特許権者の権利を消尽させるとし，Ｌ社が米国外でカートリッジを 販売した時点で，Ｌ社の特許法上の権利「範囲」は消尽したと判断した。
なお，最高裁は，「Ｌ社が特許法を用いて自社製カートリッジ購入者による当該カートリッジの再販売を制限することはできないが，合法的な販売契約を用いて自社製カートリッジ 購入者による当該カートリッジの再販売を制限することはできる」とも示した。
（吉田 真志）
