専門委員会成果物

クレームの解釈は地裁がすべきであるとして差し戻した事例

CAFC判決 2017年7月19日
NobelBiz, Inc. v. Global Connect, L.L.C., et al.

[経緯]

 NobelBiz, Inc.(N社)は,通信情報変更システムに関するUS特許8,135,122(’122特許)および8,565,399(’399特許)を有しており,Global Connect, L.L.C.(G社)に対する侵害訴訟を地裁に提起した。
 上記の通信情報変更システムは,発信者が呼出し先に電話する際に,呼出し先に提供する発信元の情報を,呼出し先の近隣の情報に変更するものであった。
 G社は,地裁に対して,’122特許における「modify caller identification data of the call originator to the selected replacement telephone number」および’399特許における「outbound call」を 含むクレームの解釈を要求した。一方,N社は,地裁による上記のクレームの解釈は不要と主張した。
 これに対して地裁は,上記のクレームにおける用語は平易で通常の意味を有する,と認定し,陪審にクレームの意味を検討させた。
 侵害を認める陪審評決が下ったのを受けて,G社はJMOL(法律問題としての判決)を申し立てたが,地裁はその申立を認めなかった。そのため,G社は,上記のクレームは平易で通常の意味を 有するという地裁の認定は誤っている,として控訴した。

[CAFCの判断]

 CAFCは,地裁はクレームの範囲を決定するという責務を負っており,O2 Micro v. Beyond Innovationの判決文にもあるように,クレームにおける用語が通常の意味を複数有する場合, 地裁によるクレームの解釈は不要とする認定は,不適切である,とした。
 結果,CAFCは,クレームに対する地裁による認定を取消し,地裁による判決を破棄して差し戻した。

(大沢 真一)

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