専門委員会成果物

特許法145条に規定の出願人が負担すべき費用の中にUSPTOの弁護士関連費用を含めるべきか否かについて,大法廷による審議をCAFCが職権で要求した事例

CAFC判決 2017年8月31日
NantKwest, Inc. v. Matal

[経緯]

 米国において出願人は特許審判部の決定に対し不服がある場合,バージニア東部地方裁判所において,特許庁長官を相手とする民事訴訟により救済を受けることができる (特許法145条)。ただし,当該手続に関する『すべての費用』は,出願人が負担しなければならない(同法145条)。
 地裁ではUSPTOの弁護士関連費用が同法145条に規定する『すべての費用』に含まれるか否か争われ含まれないと判示された。
 一方,CAFCのパネルにおいてはUSPTOの当該費用も出願人は負担しなければならないと2017年2月9日付で決定された。しかし,CAFCは職権で2017年8月31日付で当該パネルの決定を退け, 本件について大法廷による審議を再開することにした。

[CAFCの判断]

 訴訟の両当事者であるNantKwest, Inc.(以下N社)とUSPTOは,新たな準備書面の提出をCAFCから要求された。当該要求では,準備書面の中でCAFCパネルの“特許法145条に規定する出願人が 負担する経費にはUSPTOの弁護士費用も含まれる”との決定は正確であるのか,について述べる必要があるとのことである。
 なお,今後の手続であるが,控訴人であるUSPTOは準備書面を本CAFCの指令の日から45日以内に提出し,被控訴人であるN社はUSPTOの準備書面の提出の日から30日以内に応答書面の提出を 行わなければならない。USPTOはN社の準備書面の提出から15日以内に,さらに応答書面を提出してもよい。

(影山 路人)

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