専門委員会成果物

カンボジアがアジアで初めての欧州特許に基づく権利発効国に

欧州特許庁(EPO)は,2017年1月23日,カンボジアのプノンペンで,カンボジアと,カンボジアにおける欧州特許の認証に関する合意文書に署名したことを発表した。
この合意文書は,EPOのバティステリ長官とカンボジア工業手工芸省のチョム・プラシット上級大臣により署名されたもので,出願人の申請により,欧州特許に基づく権利発効国として,カンボジアも含まれることになる。
これにより,カンボジアは,アジアで最初の欧州特許に基づく権利発効国になる。
この合意は,カンボジアでの採択が行われると考えられている2017年7月1日から,効力が発生することになる。
カンボジアでは,移行期間中,医薬品に関しては,WTOによる特許保護免除が適用されているが,この合意においても,この特許保護免除が適用されることが望まれている。
バティステリ長官は,「この新しい欧州特許の認証に関する合意は,欧州特許制度の発展において良いニュースである」と述べている。
また,「この合意は,欧州市場及び近隣国を越え,欧州特許制度の魅力を広げることになる」「アジアの国での欧州特許の認証は,後発開発途上国の中で,グローバルなインパクトを示すことになる」とも述べている。
この合意により,企業や発明者は,1つの出願のみで,43の欧州諸国及び欧州外の国々での特許保護を得られるようになる。また,6億5千万人以上の市場において,彼らのイノベーションが保護されることになる。
カンボジアは,この合意が,欧州特許の特許権者にとって,カンボジアに投資する上でのインセンティブとして働き,カンボジアの経済発展を強化してくれると見ている。
チョム・プラシット上級大臣とバティステリ長官は,プノンペンで,カンボジアによる自国の特許の管理能力を強化する二国間協力計画にも署名している。
この二国間協力により,特許の管理能力の強化のみならず,カンボジアでの特許保護の利益の周知も狙いとしている。
カンボジアは,南アジア地域で最も経済成長が著しい国の一つであるが,経済及び外国からの投資を後押しするために,知的財産制度の近代化を推進している。

EPOニュース(2017年1月23日)

https://www.epo.org/news-issues/news/2017/20170123.html

(参照日2017年2月3日)

(松本 純二)

Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.