専門委員会成果物

WIPO,2015年の全世界の特許出願件数を発表

 世界知的所有権機関(WIPO)のWIPI(World Intellectual Property Indicators)年次報告によると,2015年の全世界の特許出願件数は2014年から7.8%増加し約2.9百万件に達した。これは6年連続の増加である。また, 商標出願件数も15.3%増加し約6百万件に達し,意匠出願件数も2.3%増加し872,800件に達した。
 出願人所在地ごとの特許出願件数をみると,1位が中国の1,010,406件であり,2位が米国の526,296件で,3位が日本の454,285件であった。ただし中国出願人は自国のみに出願する傾向が強く,外国への 出願件数は42,154件にすぎなかった。これは外国への出願件数が237,961件であった米国出願人とは対照的である。
 特に特許出願について述べると,2015年の全世界の特許出願件数は2014年から7.8%増加し約2.9百万件に達した。この増加率(7.8%)は2014年の4.5%よりも大きい。自国での特許保護を目的とした出願 (自国出願)の割合は合計件数の約2/3であった。
 特に中国特許庁への自国出願人と外国出願人からの合計出願件数は2015年に1,101,864件に達した。単一年度中に百万件以上の特許出願を受理したのは今回の中国特許庁が初めてである。全世界で1位であった 中国特許庁への出願件数は,其々2,3,4位であった米国(589,410件),日本(318,721件),韓国(213,694件)への合計出願件数よりも多かった。
 さらに5位であった欧州特許庁(160,028件)を加えると,全世界の出願件数に占める5大特許庁の合計シェアは82.5%であった。5大特許庁のうち増加率が大きかったのは中国(+18.7%),欧州(+4.8%), 米国(+1.8%),韓国(+1.6%)の順番であった。その一方で日本への出願件数は2005年以降に減少し続けており2015年には2.2%減少した。その原因は主に自国出願の減少である。
 外国への出願件数をみると米国の237,961件が最多で増加率は6%だった。2位は日本の195,446件だが2.3%の減少であった。3位はドイツの101,892件だが3.6%の減少であった。
 中国出願人による外国への出願件数は42,154件と比較的少ないものの過去20年間で着実に増加を続けており,フランスの合計出願件数(46,581件)に近い水準に達している。
 技術分野ごとの出願公開件数をみるとコンピュータ技術(Computer technology)が最多であり,その件数の割合は全体の7.9%であった。2位は電機(Electrical Machinery)の7.3%で,3位はデジタル通信 (Digital communication)の4.9%であった。
 2015年の特許登録件数は約1.24百万件であり,増加率は2012年以来最高の5.2%であった。これには中国での登録件数増加が大きく寄与しており,2015年の中国特許庁の登録件数(359,316件)は米国特許庁の 登録件数(298,407件)を上回り世界最多になった。
 2015年に全世界に存在していた特許権の合計件数は約10.6百万件と推定される。国ごとの割合は1位が米国の24.9%であった。2位が日本の18.3%で3位が中国の13.9%であった。

(WIPOニュースリリース)
http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2016/article_0017.html

(参照日:2017年2月8日)

(三塚 武宏)

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