専門委員会成果物

部分優先に関するEPO拡大審判部G1/15事件の審決が公表

 2017年2月3日,部分優先について判断されたG1/15事件の審決全文が公表された。
本事件は,T557/13事件の中間審決にて,法律上の論点である部分優先の適用についてEPO技術審判部から拡大審判部へ質問が付託されたものである (既報 2015年12月25日付 2015年度外国特許ニュース 欧州特許情報)。
 拡大審判部は,『“1以上の包括表現によって択一的な主題を含むclaim”(generic “OR” -claimという)は,当該択一的な主題が,直接的に/少なくとも黙示的に,かつ明確に優先権書類にて 開示されている場合は,その部分優先が否定されることはない。これ以外の条件や制限は適用されない』(第7節)と判示した。
 また,claimの主題が優先権書類に開示されているかの判断手法について,『generic “OR”-claimに含まれる主題が部分優先を享受するかの判断について,最初のステップは, 優先書類に開示された主題のうち関係するものを決定する。・・・次のステップは,この主題が,前記優先権を主張する当該出願/特許のclaimに含まれるかをテストする』ことで, generic “OR”-claimのうち優先権を享受するパートと,残りの優先権を享受しないパートとに分けられると示した(第6.4節)。この2ステップは,『EPOにおける通常のプラクティスであり, なんら困難性を増すものではない』とあり(第6.6節),新たなテストではないことが示されている。
 EPOは,この付託質問の結果に依存するとして停止していた審査および異議申し立てについて,手続きを再開するとしている。

EPOニュース(2017年2月3日)

http://www.epo.org/news-issues/news/2017/20170203.html
(参考)審決全文

https://register.epo.org/application?documentId=EZ0WSAB00165684&number=EP98203458&lng=en&npl=false
(参照日2017年2月27日)

(松崎 倫宏)

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