専門委員会成果物

2016年WIPOへのサイバースクワッティングの申立件数が記録を更新

 2017年3月16日,世界知的所有権機関(WIPO)は2016年に統一ドメイン名紛争処理方針(UDRP)に基づいてWIPOへ申立てられたドメイン名仲裁案件が,対前年比10%増加して3,036件 (対象ドメイン名の数は合計5,374件)になり過去最高記録を更新した,と発表した。
 2016年のサイバースクワッティング紛争のうち新generic Top-Level Domains(gTLDs)に関するものが16%を占め,新gTLDsの中で申立件数が多かったのは,「.TOP」,「.CLUB」,「.ONLINE」であった。
 340以上の新gTLDsの運用が2016年から始まり(例えば,「.GAMES」,「.SHOP」,「.STREAM」等),現在1,200以上の新gTLDsが運用されている。
 国別の申立件数第1位はUS(895件)であり,次にFR(466件),DE(273件)が続く。国別の被申立件数第1位もUS(680件)であり,次にCN(473件),GB(179件)が続く。
 申立件数の割合を業種別に見ると「銀行と金融」が12%と最も高く,次に「ファッション」の9%,及び「重工業及び機械」の9%が続く結果となった。
 WIPOのフランシス・ガリ事務局長は次のように述べている。「世界中でサイバースクワッティングの申立件数が増加しており,商標権者と消費者とで継続的な監視が必要である。 仲裁の中には相当数のインターネット上の模倣事件が含まれていることから重要度は増している。このようなケースにおいてWIPOはドメイン名を正当な商標権者に戻し,それにより消費者を保護する支援を行っていく。」

WIPOプレスリリース(2017年3月16日)
http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2017/article_0003.html

(参照日:2017年6月21日)

(北脇仁史)

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