専門委員会成果物

欧州特許庁,マレーシア及びフィリピンとの間でPPHパイロットプログラムを開始

 7月1日,欧州特許庁(EPO)は,マレーシア特許庁及びフィリピン特許庁との間で,特許出願の審査の共有と迅速な処理を可能とするため,Patent Prosecution Highway(PPH)pilot programを開始したことを発表した。
 これは,2016年10月,EPO長官Benoît Battistelli氏,マレーシア知的財産権局長Dato’Shamsiah Kamaruddin氏,フィリピンの知的財産局の事務局長Josephine Santiago氏との間でPPH agreementが締結されたことによるものである。
 EPO長官のBattistelli氏は,「我々は,アセアン地域の重要な市場であるマレーシアとフィリピンでこれらのプログラムを立ち上げることができて喜ばしい」と述べており,ヨーロッパとこれら2つの 東南アジア諸国の企業等が迅速かつ効率的な特許取得が可能となることで,両地域のビジネスとイノベーションが促進されることが期待される。
 2017年7月から3年の期間,試行されるpilot programの下で,出願人は,EPO,マレーシア特許庁,又はフィリピン特許庁によって特許性があると見出されたクレームについて,異なる特許庁にて 関連する出願の早期審査の申請をすることができる。EPO,マレーシア特許庁,フィリピン特許庁は審査結果を共有することで,特許に至るまでの期間を短縮し,結果として,ユーザのコストを削減することができる。
 EPOは,5大特許庁(EPO,中国,日本,韓国,米国)に加え,オーストラリア,カナダ,コロンビア,イスラエル,メキシコ,ロシア,シンガポールの各特許庁とPPH pilot programの試行を既に開始している。

EPOニュース(2017年7月4日)

http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2017/06/a46.html
(EPO Official Journal, June 2017)

http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2017/06/a47.html
(EPO Official Journal, June 2017)

(参照日は全て2017年7月21日)

(浅井 友博)

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