専門委員会成果物

欧州特許庁,植物及び動物に関する特許の実務を明確化することを発表

 2017年6月29日,欧州特許庁(EPO)は,欧州特許機構管理理事会(Administrative Council)がEPOの提案に基づき,「本質的に生物学的な交配方法(essentially biological breeding process)」 のみによって得られた植物又は動物を特許の対象から除外するため,関連規定の改正を決定したことを発表した。
 当該EPOの提案は,2016年11月付の欧州委員会(European Commission)による,バイオテクノロジー発明に関する欧州指令(EU Directive on biotechnological inventions(98/44/EC))に 基づく通知を考慮したものである。
 当該欧州指令は,「本質的に生物学的方法(essentially biological process)」を特許の対象から除くことを定めていたものの,そのような方法で得られた植物又は動物を特許の 対象から除くか否かについては明確に定めていなかった。
 しかし,2016年11月の欧州委員会による通知は,本質的に生物学的方法だけでなく,そのような方法により得られた植物又は動物も特許の対象から除外することが立法者の意図であったことを明確にした。
 今回,欧州特許機構管理理事会によって採択されたEPOの提案は,EPOにおける特許実務が明確になる点で重要であり,欧州特許制度のユーザーにとって明確性と法的確実性がより高まるものである。
 改定された規定は2017年7月1日より適用される。2016年11月の欧州委員会による通知以降,「本質的に生物学的方法」により得られた動物又は植物に関する審査・異議の手続きは停止されていたが, 今回明確化された審査実務に基づく手続きが順次再開される予定である。

EPOニュース(2017年6月29日)

https://www.epo.org/news-issues/news/2017/20170629.html
(参考)過去のEPOニュース(2016年12月12日)

https://www.epo.org/news-issues/news/2016/20161212.html
(参考)過去のEPOニュース(2016年11月24日)

https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/information-epo/archive/20161212.html
(参照日:2017年8月8日)

(川濱 周弥)

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