専門委員会成果物

欧州産業界はUnitary Patent(単一効特許)が2018年早々に始まることを熱望する

 ユーザーは,ミュンヘンで開催されたカンファレンスでUnitary Patent package(単一効特許パッケージ)の強力な支持を表明した。
 2017年7月5日にPremier Cercleが主催したミュンヘンのEPO本部での会議で,300名近い業界関係者,弁理士,弁護士,政府関係者,学者が集まり,単一効特許と統一特許裁判所(UPC)の 立ち上げにおける最新の進展と今後の方向性について議論した。
 欧州特許庁長官Benoit Battistelli氏は,開会の挨拶の中で,欧州特許庁の初期になぞらえ,「40年前,新しい欧州特許が創設されたとき,すぐに需要が予測を上回った。UPCにとっても 同じことが当てはまると確信しています。サービスに対する需要は,私たちの期待をすぐに超えるでしょう。」とコメントした。彼は,2018年早々のUPCの開設と最初の単一効特許の実現への自信を表明した。
 特別委員会委員長Jérôme Debrulle氏,UPC準備委員会の人事・司法問題作業部会長György Kozma氏は,単一効特許パッケージの実施の準備の現状を概説した。彼らは,単一効特許とUPCの両方が, 新しいシステムの開始に向けた法的,運用的,技術的な準備が整っていることを強調した。彼らは,参加加盟国が,新しいシステムをできるだけ早く開始するための残りのすべてのステップに 迅速に着手する希望を表明した。
 Sir Robin Jacob教授閣下(諮問委員会委員長)とTony Huydecoper前オランダ最高裁判所法務官(諮問委員会委員)は,UPC裁判官の募集プロセスの取り組みについての洞察を加えた。 両講演者は,候補者の非常に高い専門性を強調し,UPCが世界最高の特許裁判所ではないにしても,その一つであることが証明されるであろうとの確信を示した。
 会議の過程で,20人以上のパネリストが単一効特許パッケージの実施について検討し,UPCの裁判官が共通アプローチを作りださなければならない手続法の問題,ならびに単一効特許が パテントポートフォリオに及ぼす可能性のある影響を考察した。講演者はドイツ連邦司法裁判所のKlaus Grabinski博士,エア・リキード社の知的財産担当副社長でビジネス・ヨーロッパの 特許作業部会長のThierry Sueur氏,2014年ヨーロッパ発明者賞ファイナリストとなったスペイン中小企業Fractus社のCEOであるRuben Bonet氏などで,講演者の中には,主要国のその他の 著名な裁判官やEPO上位出願人を含む産業界の代表もいた。

EPOニュースリリース
https://www.epo.org/news-issues/news/2017/20170607.html

プログラム詳細
http://www.unitarypatentsystem.eu/

(参照日:2017年8月21日)

(福冨 剛之)

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