専門委員会成果物

EPOが欧州の中小企業に対する特許の重要性に関する刊行物を発行

 EPOは,欧州の中小企業が利益を得るために,特許をどの様に活用しているかに着目した12のケーススタディを発行した。
 この刊行物は,ケーススタディに描かれた企業の経験と慣習を中小企業が利用し,中小企業自身の発展と成長を支援することを目的としている。
 EPO長官は以下の様に述べている。

(1)「中小企業は,欧州経済の基幹であり,EPOの特許出願人のおよそ3割を占める。」
(2)「ケーススタディは,特許が中小企業の成功のための跳躍板であり,事業に対する決定的に重要な手段,特に
   資金調達の手段を得るものであることを論証している。」
(3)「ケーススタディに描かれた企業は,企業が生み出す価値,業務ならびに成長に対して,知的財産権が如何に
   活用され得るのかの具体的な例を提供している。」

 このケーススタディは,欧州の11カ国で模範となる中小企業のシニアマネージャとの広範囲に及ぶインタビューに基づくものである。これらの中小企業は,医療技術分野,ICTに対応するバイオテクノロジー, そして環境等の広範囲の産業で活動しており,互いに異なり合うビジネスモデルを採用している。
 ケーススタディは,現実のビジネスのニーズに対して,知的財産の専門家を関与させたり,特許情報を利用するなどの知的財産管理に対する全体的なアプローチを採用することによる知的財産戦略を, 企業がどの様に積極的に適用しているのかを仔細な情報や提言を提供することにより例証している。
 更に,ケーススタディでは,中小企業が期待することができる統一特許の利点についても明らかにしている。当該利点には,時間と費用を削減するとともに,欧州市場に亘る法的安定性が含まれている。

EPOニュースリリース
https://www.epo.org/news-issues/news/2017/20170921.html

ケーススタディ詳細
https://www.epo.org/learning-events/materials/sme-case-studies.html

(参照日:2017年10月19日)

(郷家 隆志)

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