専門委員会成果物
欧州特許庁，第四次産業革命技術（4IR）に関する特許出願状況の調査を公開
欧州特許庁（EPO）は，2017年12月11日のニュースレターにおいて，第４次産業革命（4IR）に関する特許出願状況を初めて調査したPatents and the Fourth Industrial Revolution （4IR）を公開したことを伝えた。 この調査によれば，４IRに関するスマートコネクテッドオブジェクト等の欧州特許出願は，この３年間で54％と急速な増加をしていることが確認された（全欧州特許出願の増加は３年間で7.65％の増加）。本調査は，EPOがHandelsblatt Research Instituteと協力して，様々な技術領域に広がる４IRに関する技術トレンドについて行ったもので，最新の特許調査ツールとEPOの特許審査官の知見に基づき，2016年までに 出願された48,000件の特許を４IRに関係する３つの技術に分類して特定した。３つの分類は，��ICT領域のコア技術であってコネクテッドオブジェクトを実現可能とする接続性に関する技術や，ソフトウエア，ハードウエア 等に関わるもの，�▲灰�技術の周辺技術でAI，セキュリティやユーザーインターフェイス等に関わるもの，��これらの技術の適用領域に関係するもので自動車や，企業および家庭内製品等に関わるもの，である。これらの 領域の中では，現在�△亮�辺技術の伸びが一番大きいとのことである。
４IRに関する欧州特許出願の出願元を確認すると，欧州（29％），米国（25％），日本（18％）が中心となっているが，近年韓国と中国からの出願件数の増加率がこれら３か国を上回っている。また欧州内ではドイツが 自動車，インフラ，製造関係の適用技術で目立つ一方で，フランスはAI，セキュリティ，ユーザーインターフェイスや3Dシステム等の周辺技術をリードしている。
出願人に注目すると，2011年から2016年における４IRに関する欧州特許出願はその半分が上位25の企業から出願されており，アジアに位置している企業が多い。さらに，ICT領域のコア技術に関するイノベーションは ICTに注力している一部の大企業がリードしているが，その周辺技術や，適用領域に関係するものは，そこまで集中しておらず，上位の出願人は様々な事業範囲に広がっている。
本調査では，さらにadditive manufacturing（付加製造）やスマートセンサー，スマート工場，スマートヘルス等のケーススタディも含んでいる。
（EPOニュース）
http://www.epo.org/news-issues/news/2017/20171211.html
（Patents and the Forth Industrial Revolution （4IR））
（参照日：2017年12月12日）
（佐々木 暁嗣）
