外国特許ニュース

〈中国〉登録が申請された医薬品に関連する専利権紛争民事事件の審理における法律適用の若干問題に関する最高人民法院の規定（法釈〔2021〕13号）

　本規定は，登録が申請された医薬品に関連する専利権紛争民事事件を正確に審理するために，「中華人民共和国専利法」，「中華人民共和国民事訴訟法」等の関連法律規定に基づき，知的財産裁判の実情を踏まえて，制定された。専利法第七十六条の関連専利が，国務院関連行政部門の医薬品販売許可審査と医薬品販売許可申請段階の専利権紛争の解決のための具体的なパテントリンケージに関する弁法（以下，パテントリンケージ弁法という）が適用される専利であることが規定された。なお本規定は，2021年５月24日に最高人民法院審判委員会第1839回会議において採択され，2021年７月７日から施行された。
　本規定は全14条からなり，パテントリンケージ弁法に基づく司法解決に関する原則的な内容が規定されている。

　〈主なポイント〉

当事者が専利法第七十六条の規定に基づき提起した専利権の保護範囲に含まれるか否かの確認に係る紛争の第一審事件は，北京知識産権法院が管轄する。（第１条）
専利権者又は利害関係者は，専利法第七十六条に基づき訴訟を提起する場合，民事訴訟法第一百一十九条第三号の規定に従い，次の各号に掲げる資料を提出しなければならない。（第３条）
1. ①国務院関連行政部門がパテントリンケージ弁法に基づき設置したプラットフォーム上に登記された，専利名称，専利番号，関連請求項等を含む関連専利情報
2. ②国務院関連行政部門がパテントリンケージ弁法に基づき設置したプラットフォーム上に公示された，医薬品名称，医薬品種類，登録分類及び登録申請医薬品とその関連する市販医薬品の間の対応関係等を含む，登録申請医薬品の関連情報
3. ③医薬品販売許可申請者がパテントリンケージ弁法に基づき行った４種類の声明及び声明の根拠
専利権者又は利害関係者がパテントリンケージ弁法に定める期間内に人民法院に訴訟を提起しない場合は，医薬品販売許可申請者は人民法院に訴訟を提起し，登録申請医薬品が関連専利権の保護範囲に含まれないことの確認を請求することができる。（第４条）
専利権者又は利害関係者がその主張する専利権が無効，又は登録申請医薬品の関連技術方案が専利権の保護範囲に含まれないことを知りながら，訴訟提起又は行政裁決を請求した場合，医薬品販売許可申請者は，北京知識産権法院に損害賠償訴訟を提起することができる。（第12条）

〈関連規定〉
　専利法第七十六条に関する専利紛争の行政解決については，下記公告を参照。

国家医薬品監督管理局，国家知識産権局による「医薬品専利紛争早期解決メカニズム実施弁法（試行）」の公布に関する公告（2021年第89号）2021年７月４日施行
国家知識産権局による「医薬品専利紛争早期解決メカニズム行政裁決弁法」の公布に関する公告（第435号）2021年７月５日施行

〈参考〉中国最高人民法院
http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-311791.html

※その他参考
日本貿易振興機構　ホームページ
https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ip/law/section.html

（URL参照日は全て2021年８月２日）

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