外国特許ニュース

〈中国〉「人民法院オンライン訴訟規則」の施行

 最高人民法院は2021年6月16日に「人民法院オンライン訴訟規則」(法釈[2021]12号)を公布した。2021年8月1日から施行された。本規則は訴訟主体の権利を保障し,公正で効率的な事件審理が行われるようにすることが目的とされている。本規則は「中華人民共和国民事訴訟法」,「中華人民共和国行政訴訟法」,「中華人民共和国刑事訴訟法」等の関連法律の規定に基づいており,裁判の実務も踏まえて制定された。
 本規則は全39条からなり,第1条には,オンライン訴訟が,オフライン訴訟と同等の法律効果を有する旨が規定されている。
 オンライン訴訟は,民事訴訟事件,行政訴訟事件,刑事迅速手続事件(懲役3年以下等の条件下で適用される手続)などに適用できる(第3条)。
 全ての当事者がオンライン訴訟とすることに同意した場合には,対応する訴訟ステップ(調停,証拠交換,尋問,聴聞,審理等)はオンライン形式で進行することができ,一部の当事者がオンライン訴訟とすることに同意しない場合には,同意する当事者がオンライン,同意しない当事者はオフラインという方式で対応する訴訟ステップを進行することもできる(第4条)。
 当事者はオンライン訴訟に用いる訴訟プラットフォームへ予め実名登録する必要があり,人民法院は許可証をオンラインで比較照合するなどして身元を確認する。専用アカウントで訴訟プラットフォームにログインしてなされた行為は,それがアカウントの盗用やシステムエラーによるものと証明される場合を除き,本人の行為とみなされるため,アカウント及びパスワードは適切に保管しなければならない(第7条)。
 人民法院は,ブロックチェーン技術を通じて保存された電子データであって,技術的検査を経て一致するとされたものに対しては,アップロード後の改ざんは無いと認定することができる。ただし,それを覆す反対証拠が有った場合にはその限りではない(第16条)。
 開廷審理される事件において,全ての当事者が明確に不同意を示した場合,あるいは,一部当事者が不同意を示しかつそれに正当な理由がある場合などには,オンラインでの審理は適用されない。また,オンラインでの審理が適用された後でそのような事情があることが発見された場合はオフラインでの審理に変更される(第21条)。
 オンラインでの審理にも,忌避申立て,挙証,質証,陳述,弁論といった訴訟上の権利は,当事者に対して保障される(第22条)。
 オンライン訴訟に参加する主体は,関連法律の規定に基づいて,データや個人情報を保護する必要があり,法律・規則に違反してそれらを開示してはならない(第38条)

〈参考〉中国最高人民法院 ホームページ
http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-309551.html

※その他参考
株式会社KyKインターナショナル ホームページ
http://www.kyk-ip.com/files/CN-SC-OnlineLitigationRule2021.pdf

曾我法律事務所 ホームページ
https://sogalaw.com/archive/210616_RenminFayuanZaixianSusongGuize_JP_ver210720.pdf

(URL参照日は全て2021年9月8日)

(注)「アジア・オセアニア特許情報」は,最新とは言えない情報も含め,会員に有用と思われる情報を掲載しています。内容については正確を期したつもりですが,二次情報もあり, 必ずしも情報源への確認が充分と言えない場合があります。詳細については会員各位にてご確認下さい。

Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.