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〈韓国〉特許法・商標法・デザイン保護法の改正案が国会本会議を通過

〜権利獲得の機会拡大と救済に関する改正〜
 韓国特許庁は,2021年9月29日,特許法・商標法・デザイン保護法に関する以下の改正案について国会本会議を通過したと発表した。また,本改正法案は,2021年10月19日に公布されたため,公布日から6カ月経過した2022年4月20日に施行される。
  1. 特許法・商標法・デザイン保護法について
    1. 1.1. 拒絶査定不服審判(再審査)の請求期間の延長
       拒絶査定不服審判における請求期間を従来の30日から3カ月に延長する。この期間は,日米中の拒絶査定不服審判の請求期間と同じ期間である。これにより,審判への充分な準備期間を出願人に提供しつつ,不要な期間延長を最低限に抑えることができるようになる。
    2. 1.2. 権利の回復要件を緩和
       書類の提出,手数料の納付などの期限を超過して権利が消滅された場合,権利回復の要件を「責任を負うことができない事由」から「正当な事由」に緩和した。例えば,新型コロナウイルス感染による入院等により手続きが進められなかった場合などは,今後は救済することができるようになる。
       また,先願が優先権主張されているものであれば,先願に対する分割出願を行う際にも優先権が自動的に認められ,優先権主張の手続きがなされなくても,これに起因して出願が拒絶されることを防止できるようになる。
  2. 特許法について
    1. 2.1 分離出願制度の新設
       従来,拒絶査定不服審判が行われると,拒絶理由が一部でも残っていれば特許全体が拒絶されるため,登録可能な請求項があっても,特許を受けることができなかった。
       しかし,改正案では,審判で拒絶決定が維持(棄却審決)されても登録可能な請求項のみを切り分けて出願できる分離出願制度が新たに導入される。これにより出願人による権利獲得の機会を拡大した。
    2. 2.2 優先権主張出願の機会拡大
       特許査定の後も,市場の状況に合わせて発明が改良された場合,改良発明を追加して,国内における優先権主張の出願が可能になる。
  3. 商標・デザイン保護法について
    1. 3.1 審査官の職権による再審査制度の導入
       登録査定された商標・デザイン登録出願が設定登録される前に審査官が明らかな拒絶理由を発見した場合,登録査定を取り消し,職権で再審査できるようになる。これにより,無効事由がある不良権利の発生を事前に防止することができる。
    2. 3.2 再審査請求時の補正書提出期間の拡大
       デザイン登録拒絶査定への対応として「再審査請求時」に補正書の提出が必須であったが,それが「再審査請求期間内」に拡大される。

(参考)
JETROホームページ
https://www.jetro.go.jp/world/asia/kr/ip/ipnews/2021/210930.html

(参照日:2021年10月18日)
Korean law information center(特許法):
https://www.law.go.kr/LSW/lsSc.do?y=0&x=0&p1=&menuId=1&query=%ED%8A%B9%ED%97%88%EB%B2%95&subMenu=1#undefined
Korean law information center(デザイン保護法):
https://www.law.go.kr/LSW/lsSc.do?y=0&x=0&p1=&menuId=1&query=%EB%94%94%EC%9E%90%EC%9D%B8%EB%B3%B4%ED%98%B8%EB%B2%95#undefined
Korean law information center(商標法):
https://www.law.go.kr/LSW/lsSc.do?y=0&x=0&p1=&menuId=1&query=%EC%83%81%ED%91%9C%EB%B2%95#undefined

(URL参照日はJETROを除き全て2021年10月20日)

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