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WIPO指標〜イスラエル,トルコ編

 世界知的所有権機関(WIPO)から,2021年10月に,「World Intellectual Property Indicators 2021」(WIPO指標2021と称する。)が発行されました1)
 このWIPO指標2021は,WIPOが特許,実用新案,商標,意匠,微生物,植物品種保護,地理的表示等の分野における2020年(集計期間:2020年1月〜2020年12月)の統計をまとめて報告したもので,各国における最新知財動向を読み取ることができます。
 今回,国際第4委員会では,イスラエル,トルコを取り上げ,WIPO指標2021に基づいて各国知財(主に特許,実用新案)動向の概要を纏めました。

【総括】
 イスラエル,トルコ共に,2020年の特許出願件数は前年比で増加しています。  一方,両国では,出願人における居住者/非居住者の割合が大きく異なっており,イスラエルでは非居住者による特許出願件数が全体の80%程度に対し,トルコでは居住者による特許出願件数が全体の97%程度でした。

【国別】

  1. イスラエル
     2020年の特許出願件数は8,123件であり,前年比で+5.0%と増加しています。
     特徴として,イスラエルでは,居住者による自国への特許出願件数が1,642件に対し,外国への特許出願件数(Abroad-filings going out to other countries)2)が14,577件となっており,自国よりも外国への出願に注力していることがうかがえます。
     現地特許庁へのPCT出願における出願人上位は大学,技術移転機関でした。
     特許審査において,審査請求から1st OAまでの期間が平均27.5月,査定が出るまでの期間が平均42.0月でした。
  2. トルコ
     2020年の特許出願件数は,8,758件であり,前年比で+2.3%と増加しています。
     特徴として,トルコでは,居住者による特許出願件数の割合が非常に大きく,2020年は,97.3%となっています。2011年の割合も89.5%となっており,その数値は直近10年の間,ほぼ変わっていません。
     現地特許庁へのPCT出願件数は直近10年間で約3倍に増加しており,主な出願人はトルコの電機メーカー,IT関連メーカー,大学でした。
     特許審査において,審査請求から1st OAまでの期間が平均2.8月,査定が出るまでの期間が平均27.9月でした。

表1 WIPO指標2021における、2020年イスラエル、トルコの知財動向概要

注 記
1) World Intellectual Property Indicators 2021
https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_941_2021.pdf
2) Statistical Country Profiles(WIPOサイト内)
https://www.wipo.int/ipstats/en/statistics/country_profile/

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