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WIPO指標〜オーストラリア、インド編

 世界知的所有権機関(WIPO)から,2021年10月に,「World Intellectual Property Indicators 2021」(WIPO指標2021と称する。)が発行されました1)
 このWIPO指標2021は,WIPOが特許,実用新案,商標,意匠,微生物,植物品種保護,地理的表示等の分野における2020年(集計期間:2020年1月〜2020年12月)の統計をまとめて報告したもので,各国における最新知財動向を読み取ることができます。
 今回,国際第4委員会では,オーストラリア,インドを取り上げ,WIPO指標2021に基づいて各国知財(主に特許,実用新案)動向の概要を纏めました。

【総括】
 オーストラリアでは,2020年には特許出願件数が前年比で減少に転じている一方で,インドでは居住者による出願数が前年比で大幅に増加したため,居住者,非居住者による出願件数合計も前年比で増加しています。
 両国とも,米国からの出願件数が最も多い結果でした。

【国別】

  1. オーストラリア
     2020年の特許出願件数は29,294件であり,前年比で−1.6%と減少しています。
     特徴として,オーストラリアでは,居住者による特許出願件数が非常に少なく,2020年の特許出願件数全体に占める居住者の割合は,8.1%でした。2011年の当該割合も9.3%と低く,直近10年の間,ほぼ変わりません。
     また,現地特許庁へのPCT出願における出願人上位は医療機器メーカーでした。
     特許審査において,審査請求から1st OAまでの期間が平均7.6月,査定が出るまでの期間が平均22.8月でした。
  2. インド
     2020年の特許出願件数は56,771件であり,前年比で+5.9%と増加しています。
     特徴として,インドでは,居住者による特許出願件数が増加しています。2011年の特許出願件数全体に占める居住者の割合は,20.9%でしたが,2020年では,40.8%であり,直近10年で約2倍に増えています。
     また,現地特許庁へのPCT出願における出願人上位は大学,国立研究機関,二輪自動車メーカー,自動車メーカーでした。
     特許審査において,審査請求から1st OAまでの期間が平均18月,査定が出るまでの期間が平均42月でした。

表1 WIPO指標2021における、2020年オーストラリア、インドの知財動向概要

注 記
1) World Intellectual Property Indicators 2021
https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_941_2021.pdf
2) Statistical Country Profiles(WIPOサイト内)
https://www.wipo.int/ipstats/en/statistics/country_profile/

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