専門委員会成果物

EPOが国際女性デーを祝う

 3月10日,EPOは,3月8日の国際女性デーを祝い,科学技術分野における女性をテーマとしてパネルディスカッションを行った1),2)。

 パネルディスカッションには,5名のEPOのスタッフに加え,欧州発明者賞の受賞者であるHelen Lee氏(Popular Prize,2016)及びUrsula Keller氏(Lifetime achievement,2018)が参加し,知的財産の世界における男女平等,伝統的な社会的信念,ロールモデルとメンターの重要性について議論がなされた。

 女性が大規模な研究チームに参加するようになり,特許出願の発明者となることが増えているが,発明者総数に占める女性の割合は依然として小さい。パネルディスカッションではこの問題についての各参加者の見解が共有された。Keller氏は自身のキャリアにおける経験から,女性の発展を促進する上で,組織とリーダーシップの役割が重要であることを強調した。Keller氏はコミュニケーションと明確なプロセスの重要性について語り,「説明責任と透明性は最低限必要な条件である」と指摘した。

 さらに,パネルディスカッションでは,男女平等を促進し得る社会的,組織的,政治的要因,及び考えられる解決策について議論された。Lee氏は,特定の分野において女性の代表者が少ない問題に対して,どのように取り組むべきかについて尋ねられた。Lee氏は,「その問題は,組織のトップの考え方に関わる。女性の才能を本質的に理解し,女性に権力を与えることに対して前向きでなければならない」と述べた。

 EPOにおいて,ダイバーシティー&インクルージョンの発想は依然として重視されている。EPOは,研修とメンターシッププログラムを通じて,すべてのスタッフの人材開発を支援し,ジェンダーに配慮した文書作成やインクルーシブな行動の実行などの取組を行っている。また,EPOは,社会全体に対する責任を認識しており,科学技術分野における女性の比率を高め,指導的地位にある女性の数を増やすことを目的とした地域社会への奉仕活動に参加している。これらの活動には,4月にオランダとドイツで行われる少女の日(Girls’ Day)のような,女子学生を対象とした,科学技術分野におけるキャリア促進を目的とした取組が含まれる。

国際女性デーについて
 国際女性デーは1900年初頭に一部の国で始まった。1970年代半ばになると,国連により式典が行われ,祝賀行事として広く認知されるようになった。今日では,女性の社会的,経済的,文化的及び政治的発展をテーマとして,世界中の企業,国際機関及び個人が参加して様々な活動が行われているが,依然として取り組むべき問題は多い。

注 記

  1. EPOニュース(2021年3月10日)
    EPO and leading scientists celebrate International Women’s Day
    https://www.epo.org/news-events/news/2021/20210310.html
  2. Live from the EPO:International Women’s Day 2021
    https://www.facebook.com/europeanpatentoffice/videos/475722683810193/

(参照日:2021年4月19日)    

(直井 雄作)

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