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専門委員会成果物
EUにおける知的財産権侵害品の実態報告１）
EUIPOは，EUにおける知的財産権の侵害品に関する2019年の実態報告書を発行した２）。
この報告書によれば，2019年にEUで品目数として約7,200万個の知的財産権侵害品が収容された。2018年は9,100万個であったため，品目数としては約21％減少している。
2018年に比べて品目数としては大幅に減少したが，その推定金額は約24億ユーロに達し，2018年に比べてほとんど減少していない。この理由としては，2018年はおもちゃやパッケージ材等の安価な製品であったのに対して，2019年は衣類，アクセサリー，靴等のより高価なものへ変化したことと，一部の製品単価が増加したことが挙げられる。
地域別・国別では，侵害品目数の上位10カ国で約90％，金額ベースでは約92％を占めた。イタリアが圧倒的に多く，品目数で41％以上，総額の48％以上であった。また，マルタ共和国が人口や面積等を考慮すると上位10カ国に入っていることは意外である。さらに，イタリアほど多くはないが，品目数及び金額ベースともフランスとスペインが，品目数ではルーマニアとチェコが，金額ベースではギリシャとドイツが，それぞれ上位５カ国にランクインしている。
品目については，最も多い侵害品の上位４品目は，品目数ベースでは，おもちゃ，タバコ，アクセサリー，衣類であり，これらで製品の約41％であった。金額ベースでは，アクセサリー，衣類，時計，靴であり，全体の約61％であった。
EU域内とEU国境での収容の状況を比較すると，品目数のうち約56％がEU域内，残りはEU国境であった。一方，金額ベースではEU域内の割合が多くなり，約73％はEU域内，残りはEU国境であった。EU国境で収容された侵害品の種類は，EU域内の侵害品と異なっており，品目数ベースでは，EU国境ではパッケージ材がはるかに多く，一方，アクセサリーはEU域内の方がはるかに多かった。また，金額ベースでは，EU国境は衣類，EU域内ではアクセサリーであった。
また，侵害されている知的財産権は，歴史的に変化がなく，商標権が圧倒的に多く，品目数で約90％，金額ベースでは96％近くであった。残りのほとんどは意匠権侵害であり，わずかに特許権，著作権侵害が見られた。
2019年の傾向としては，侵害品における意匠権のウエイトが増加した点が挙げられる。即ち，デザインが重要な役割を果たす製品のなかで，宝石や靴等の高級品の侵害品は減り，パッケージ材やスマートフォン，AV機器等に対してデザイン重視の傾向が見られた。著作権侵害は記録されたCD/DVDで見られ，一方，特許権侵害は主にメモリカード・メモリスティックと医薬品であった。なお，記録されたCD/DVDを除き，これらの分野では商標権侵害は依然として多発している。
このような結果を受けて，本報告書では，�／�害取締り当局と権利保有者間の情報共有を目的とした，知的財産権利行使ポータルを通した協力と情報共有の促進，��特許権に対する取締り強化のために当局に対して理解が困難な特許の情報提供や研修の実施，等を実行していくとしている。
（参照日：2021年６月22日）
この報告書によれば，2019年にEUで品目数として約7,200万個の知的財産権侵害品が収容された。2018年は9,100万個であったため，品目数としては約21％減少している。
2018年に比べて品目数としては大幅に減少したが，その推定金額は約24億ユーロに達し，2018年に比べてほとんど減少していない。この理由としては，2018年はおもちゃやパッケージ材等の安価な製品であったのに対して，2019年は衣類，アクセサリー，靴等のより高価なものへ変化したことと，一部の製品単価が増加したことが挙げられる。
地域別・国別では，侵害品目数の上位10カ国で約90％，金額ベースでは約92％を占めた。イタリアが圧倒的に多く，品目数で41％以上，総額の48％以上であった。また，マルタ共和国が人口や面積等を考慮すると上位10カ国に入っていることは意外である。さらに，イタリアほど多くはないが，品目数及び金額ベースともフランスとスペインが，品目数ではルーマニアとチェコが，金額ベースではギリシャとドイツが，それぞれ上位５カ国にランクインしている。
品目については，最も多い侵害品の上位４品目は，品目数ベースでは，おもちゃ，タバコ，アクセサリー，衣類であり，これらで製品の約41％であった。金額ベースでは，アクセサリー，衣類，時計，靴であり，全体の約61％であった。
EU域内とEU国境での収容の状況を比較すると，品目数のうち約56％がEU域内，残りはEU国境であった。一方，金額ベースではEU域内の割合が多くなり，約73％はEU域内，残りはEU国境であった。EU国境で収容された侵害品の種類は，EU域内の侵害品と異なっており，品目数ベースでは，EU国境ではパッケージ材がはるかに多く，一方，アクセサリーはEU域内の方がはるかに多かった。また，金額ベースでは，EU国境は衣類，EU域内ではアクセサリーであった。
また，侵害されている知的財産権は，歴史的に変化がなく，商標権が圧倒的に多く，品目数で約90％，金額ベースでは96％近くであった。残りのほとんどは意匠権侵害であり，わずかに特許権，著作権侵害が見られた。
2019年の傾向としては，侵害品における意匠権のウエイトが増加した点が挙げられる。即ち，デザインが重要な役割を果たす製品のなかで，宝石や靴等の高級品の侵害品は減り，パッケージ材やスマートフォン，AV機器等に対してデザイン重視の傾向が見られた。著作権侵害は記録されたCD/DVDで見られ，一方，特許権侵害は主にメモリカード・メモリスティックと医薬品であった。なお，記録されたCD/DVDを除き，これらの分野では商標権侵害は依然として多発している。
このような結果を受けて，本報告書では，�／�害取締り当局と権利保有者間の情報共有を目的とした，知的財産権利行使ポータルを通した協力と情報共有の促進，��特許権に対する取締り強化のために当局に対して理解が困難な特許の情報提供や研修の実施，等を実行していくとしている。
注 記
- EUIPOプレスリリース（2021年６月１日）
https://euipo.europa.eu/ohimportal/en/news?p_p_id=csnews_WAR_csnewsportlet&p_p_lifecycle=0&p_p_state=normal&p_p_mode=view&p_p_col_id=column-1&p_p_col_count=2&journalId=8726540&journalRelatedId=manual/ - EU ENFORCEMENT OF INTELLECTUAL PROPERTY RIGHTS：OVERALL RESULTS OF DETENTIONS, 2019（2021年６月）
https://euipo.europa.eu/tunnel-web/secure/webdav/guest/document_library/observatory/documents/reports/2021_Enforcement_IP_Detencions/2021_Report_on_overall_EU_detentions_during_2019_ExSum_en.pdf
（参照日：2021年６月22日）
（村上 加奈子）
