専門委員会成果物

ドイツ特許商標庁の年次レポート2020を公開

 ドイツ特許商標庁(以下,DPMA)は,8月11日に年次レポート20201)の公開を発表した2)。年次レポート2020の中で,DPMAのCornelia Rudloff-Schäffer長官は,「2020年は,COVID-19のパンデミックによる影響を感じました。しかし,明るい点もあると感じています。」と述べている。
 年次レポート2020では,特許出願件数(ドイツ国内特許出願とドイツに移行された国際特許出願の合計)が,62,105件(前年比7.9%減),商標出願件数が84,619件(前年比14.9%増),実用新案出願件数が12,323件(前年比5.6%増),意匠出願件数が37,124件(前年比9.8%減)であったことが報告されている。DPMAは,特許の出願件数が前年と比較して減少しているが,コンピュータ技術,医療技術等の最先端技術の特許出願の件数については,大幅に増加していることを強調している。例えば,コンピュータ技術は,前年比で17.6%,医療技術は,前年比で10.1%の増加したことが強調されている。
 また,年次レポート2020には,技術のトレンド情報,企業ランキング情報等の統計情報や様々な記事が含まれている。
  1. デジタル化に関する分析
     DPMAは,年次レポート2020でデジタル化に関する出願傾向の分析を公開している。この分析では,デジタル化技術に関する出願件数が10年間で58.2%増加しており,デジタル化技術に関する出願が多くなっていることが報告されている。また,デジタル化に関連した技術のサブセクタである,「デジタル通信」,「コンピュータ技術」,「視聴覚技術」,「半導体」,「ITメソッド」の技術分野の過去10年の出願件数の比較が報告されている。なお,この5つの中で最も出願件数が多い「デジタル通信」には,5Gに関する出願が含まれており,14,874件と非常に多くの件数が出願されていることが報告されている。また,AI技術を含む「コンピュータ技術」についても,14,589件と非常に多くの件数が出願されたと報告されている。
  2. 自動車分野に関する分析
     DPMAは,年次レポート2020で自動車分野の技術に関する出願傾向の分析を公開している。この分析では,内熱機関に関する技術の出願件数(3,128件(前年比15.0%減)),電気駆動に関する技術の出願件数(701件(前年比7.8%増)),バッテリーに関する技術の出願件数(3,214件(前年比20.1%増))から,内熱機関から電気自動車にトレンドが向かっていることを述べられている。

注 記

  1. Annual Report 2020
    https://www.dpma.de/docs/english/jahresberichte/annualreport2020.pdf
  2. DPMA Annual Report 2020:innovation trends in automotive technology and digitisation.
    https://www.dpma.de/english/services/public_relations/press_releases/09062021/index.html

(参照日:2021年9月6日)    

(井下 健輔)

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