専門委員会成果物

UPCAの暫定適用が開始される

 1月19日,欧州統一特許裁判所協定(UPCA=Unified Patent Court Agreement)の暫定適用に関する議定書が,オーストリアによるUPCAの批准書が寄託されたことを受けて,発効された(1)。これにより,欧州統一特許裁判所(UPC=Unified Patent Court)の開始に向けた最終準備が始まった。
 欧州特許庁(EPO)のAntónio Campinos長官は,「暫定適用の開始により,欧州単一効特許がまもなく現実のものとなる。数か月後には,EU加盟国の全域を対象とした,費用対効果が高い特許が利用可能となる。欧州単一効特許制度は,開発,発明及びCOVID-19のような課題への取り組みを効果的に支援し,今ここにある危機を克服するための経済成長を促進するものである。」と述べた。
 暫定適用の期間は8か月と想定されており,その暫定期間内に,欧州統一特許裁判所の技術的及びインフラ的な準備は完了する予定である。すなわち,年末までには,欧州単一効特許制度の運用が開始されることになる。2020年12月に既に承認されているドイツによるUPCAの批准書の寄託(2)は,正式にUPCAの効力を発効させており,UPCの業務は開始可能となっている。
 EPOは,欧州単一効特許を早期に取得しようという出願人を支援する目的で,特許付与手続の最終段階に達した欧州特許出願に対して暫定措置を導入する予定である。この暫定措置は,欧州単一効特許制度の効力の発効に先立って利用可能となる予定である。

注 記

  1. Protocol to the Agreement on a Unified Patent Court on provisional application (PPA)(2022年1月19日)
    https://www.consilium.europa.eu/en/documents-publications/treaties-agreements/agreement/?id=2015056
  2. German Bundestag approves ratification bill on the Unified Patent Court Agreement(2020年11月26日)
    https://www.epo.org/news-events/news/2020/20201126b.html

(参照日:2022年2月21日)  

(林 潤平)

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