国際活動

北京での日中企業連携会議

日中企業連携会議が、2月26日、北京で開催されました。

この会議の目的は、中国専利保護協会(Patent Protection Association of China)と友好関係を保つことです。同協会は、中国における「日本知的財産協会」です。そのために、年1回、シンポジウムを開催します。シンポジウムの形式は、「Closed」。企業の知財活動について、実務的なことをお互いに学びましょう、という趣旨で開催されています。

中国専利保護協会の実質上のトップは、胡佐超さん。中国の「知財第一世代」の人です。フランスに留学した経験があり、とても洒落た人です。また、大変な実力を持っています。

今回、我らと故さんが選んだテーマは「特許網の構築」と「社内の知財教育」でした。

中国側から出てきた企業は、海爾集団(Hiaer:家電)、華為技術(Huawei:通信機器)、中興(ZTE:通信設備)、騰為(Tencent:通信)、伊利(Yili:乳製品)など巨大企業。天士力(漢方薬)、正大天晴(製薬)の大企業も参加してくれました。胡さんが集めてくれたのだと思います。感謝します。

海爾集団の2008年の売上高は、1兆8300億円。華為技術のそれは、2兆1436億円です。華為技術は、最近、日経新聞に、PCT出願件数・世界一になったと報じられた会社です。

世界トップPCT出願件数となった「華為技術」から出てきた人物は、写真右側の「王さん」です。最初に見たとき、失礼ですが、中学生か、と思いました。

大丈夫かなぁと思いきや、会議が始まると、とても鋭い質問を矢継ぎ早に行ないます。頭のいい、聡明な人でした。肩書きはPatent Manager。

左側の女性は、「載薔(WeiDai)さん」です。中興通迅のIP Directorです。中興通迅の出願件数は、すばらしい伸びを示しています。2005年1,227件、2006年2,657件、2007年4,994件と倍々になっています。彼女も、王さんと同じで、実務的な質問を沢山、積極的にしました。

騰為(Tencent:通信)の桂燕さん(Senior Patent Consultant Patent Agents)も、有能な女性でした。20歳代後半と思いますが、子供がいるお母さん。全く、そんなことを感じさせないキャリアウーマンでした。

彼女らが発表した内容は、とても充実したものでした。2〜3年前の中国企業のプレゼンは、形だけのものが多く、「本当にやっているのかな?」と疑問を感じさせるものでしたが、今回の発表は、「完璧に実行している」という印象を強く感じさせました。重要開発テーマに関与する知財部門の在り方、他社保有障害特許調査の実施、発明の評価、特許群の中の各発明の位置づけ、権利維持の見極めなど、日本企業と同様なことを着実に実行しています。

中国側参加企業10社の内、8社の会社代表が女性でした。それも20歳代〜30歳代前半がほとんど。彼女らが会社を引っ張っています。この若さで、すでにリーダー格。末恐ろしいことです。「いずれ日本は中国に抜かれる」と感じてしまいました。

小生は、日本側の代表ですが、チームの一員として、「特許網の構築」に参加しました。NANOハイテンの基本特許出願を説明しましたが、素材産業における突発的な「異常値発見型発明」の把握方法に質問が多く集まりました。知財部門が、研究所の活動内容に深く踏み込むことが、極めて新鮮に映ったようです。中国在住の日本企業からも質問がありました。

会議は、9時から17時まで、びっしりと集中して行われました。議論が続き、時間が足りませんでした。でも、みんな満足してくれたと思います。充実感が漂っていました。

レセプションも盛り上がりました。胡さん、副会長の鄭永鋒さんとよく話をしましたが、胡さんが言った言葉が印象に残りました。「欧米の人は、中国を見下ろす態度だけど、日本は対等な立場で話してくれる」
  • オープニング
  • 特許網に関する議論、中国側は発表者5名中4名が女性
  • 知財教育に関する議論、円卓を囲んで。右側が中国側
  • 集合写真
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