国際活動

WIPO PCT-WG 7th Sessionへの委員派遣

 スイス・ジュネーブのWIPOにおいて、2014年6月10日から13日にかけて開催されたPCT作業部会(PCT-WG)に、JIPAは、吉岡 国際第二委員会委員長代理(NEC)及び湊国際第二委員会副委員長(アイピックス)を派遣し、日本産業界の意見表明を行いました。

 このPCT-WGは、PCT総会に提案すべき議題を、加盟国の政府、国際機関代表、およびユーザ団体が一堂に会して事前に協議する国際会議で、2008年より開催され今年で7回目になります。

 今回の会議では、主に(1)PCT制度の将来の発展に向けた国際段階の各種手続きに対する改善策、(2)近年の技術の進歩や通信技術情勢を鑑みた、手続の簡素化や記述される情報の高度化を図る趣旨でのPCT規則の改善提案、を中心に、現行制度が有する諸課題及びそれらへの取組について、先進国・途上国、政府・ユーザという制度に関わる全ての立場からの意見が聴取され、加盟国間での合意形成が図られました。

 JIPAは、特許庁・ユーザ双方にとってメリットのあるPCT制度の適切な発展という視点から議論に参加し、特に、(1)については、国際調査報告の質の改善に向けた協働国際調査等に関して、各国特許庁への効果のみでなくユーザへの効果も考慮されるべきとの観点からパイロットプログラムにおけるこうしたデータの収集と公開への期待を表明し、(2)については、送受信文書の電子化に伴う救済措置に関し、ユーザ自身に起因しない予測不可能なユーザITシステムのダウンを救済措置の対象に含めるよう期待を述べ、これらの内容が議長サマリーにも明記されました。

 さて、今回の会議において各国・各団体からの新提案を含め建設的な議論が進められる中、特定国(特に新興国)を対象とした料金減免を採用する新料金制度を定める議題、及び、国際機関を新規に認定する手続を定める議題について、当初、新興国グループの意見と先進国グループの意見が一部対立し、議論が長期化しました。これらの議論は、数度の中断を挟みながらではあるものの、初日から最終日の定刻間際まで継続され、PCT-WGの定刻通りの終了が危ぶまれました。最終的には、二年連続となるオーストラリア特許庁 General Managerの素晴らしいチェアマンシップと加盟国の建設的な姿勢により、これらの議題についても合意が図られ、PCT-WGは定刻通りに終了されました。こうした経緯から、現行のPCT制度が抱える加盟国間の複雑な関係を改めて認識することとなりました。

 次回のPCT-WGは2015年の同時期に開催され、今回の議題の詳細を継続して協議する予定となっています。JIPAは、PCT制度の適切な発展に向け、今後も、世界から期待されるユーザ団体としての意見を表明していく予定です。

以上

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