国際活動

五極特許庁・ユーザ会合、三極ユーザ会合等への参加報告

 2019年6月10日〜13日、韓国 松島にて開催された三極ユーザ会合(Industry Trilateral Meeting)、5極ユーザ会合(IP5 Industry Meeting)および五極特許庁・ユーザ会合(IP5 Heads of Office with Industry Meeting)に、国際政策プロジェクトの森プロジェクトリーダー、宮下WGリーダー、大塚、田中(前特許第一委員長)が参加しました。また、6月14日にソウルにて開催された、 第9回国際知的財産および産業セキュリティ会議(9th International Intellectual Property and Industrial Security Conference、KIPO及びFinancial Newsの共催)に、森プロジェクトリーダーと宮下WGリーダーが参加しました。
 三極ユーザ会合では、ここ数年間にわたりB+サブグループ(先進国特許庁グループ)にて継続検討されている、実体面での特許制度調和の各項目につき議論が行われました。
 また五極特許庁・ユーザ会合においては、日米欧中韓の特許庁およびWIPOとの間で、五極特許庁(IP5)が進める様々な施策に対して意見交換を行いました。   これらの会合では、短期間ながらも幅広い主題に関する活発な討議が行われ、参加者は制度調和、ユーザの利便性向上や審査品質の向上に向け、日本のユーザを代表して積極的に議論に参加し、意見・要望を発信してまいりました。
 また、第9回国際知的財産および産業セキュリティ会議では、知的財産の現状と将来について、議論が行われました。JIPAからは森プロジェクトリーダーが、日本産業界を代表して、知財を取り巻く最新動向についてのプレゼンを行いました。  なお、会場となったホテルの周辺では、各国特許庁及びWIPOの旗とともに、IP5の旗がメイン通りに掲げられ、仁川市を挙げて今回のIP5会合を盛り上げていました。
  1. 三極ユーザ会合(6月10、11(午前)、13日)
     日米欧の三極ユーザ団体(JIPA、AIPLA、IPO、Business Europe)が集まり、B+サブグループ(オーストラリア、カナダ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、日本、韓国、スペイン、イギリス、アメリカ、EPOの各特許庁から構成されるグループ)において検討が進められている、実態面での制度調和について、三極ユーザの合意案の作成に向けて議論が行われました。 具体的には、先行技術の定義、グレースピリオド(日本における新規性喪失の例外規定)、衝突出願(公開前先出願における後願排除効)、先使用権等について、2日半にわたって議論が行われました。
      会合においては、各項目について現状で合意に至っていない部分を中心に、集中して議論が行われ、今秋にB+への提出を予定している三極ユーザによるレポートの作成に向けて、詰めの協議が行われました。そして、当該レポート作成に向けての詳細なスケジュールの確認等を行い、制度調和達成に向けての具体的な作業内容の確認等を行いました。
  2. 五極ユーザ会合(6月11日(午後))
      三極ユーザに韓国および中国のユーザ(それぞれ、KINPAおよびPPAC)を交えた五極ユーザが集まり、翌6月13日に行われる五大特許庁・ユーザ会合において取り上げられる項目について意見交換を行い、具体的なユーザからのインプット(意見・要望等)について話し合いました。
     特に、PHEP(Patent Harmonization Experts Panel、五大特許庁により構成される形式面における制度調和のための専門家会議)におけるこれまでの検討テーマ(記載要件、単一性、Citation of Prior Art)の現状の確認と、次期テーマについての検討を行いました。
  3. 五大特許庁・ユーザ会合(6月12日)
     日米欧中韓の各特許庁(五大特許庁:IP5)およびWIPOと五極ユーザとにより、種々の施策や品質に関し、意見交換が行われました。具体的には、五大特許庁及びWIPOにおける最近のトピックについての 報告及び質疑応答が行われた他、本年3月にオランダのハーグで開催されたGlobal Dossier Task Force (GDTF)会合およびIP5 Industry Consultation Group (ICG)会合における各作業項目の現状および今後の予定について、活発な議論が行われました。AIに代表されるような新たな技術が審査や特許制度に与える影響について協力して検討をすすめること、 高品質で信頼性の高い審査そのための協力を促進すること、IP5の協力体制やフレームワークをイノベートしていくといったことが今後の取り組み課題としてあげられました。
     また、田中前特許第一委員長により、次期PHEPテーマの候補として、Claim Structureと図面様式の統一の必要性について、JIPA専門委員会による詳細な調査結果に基づくプレゼンが行われ、参加者から高い評価を得られました。
     最後に今後も庁・ユーザ間の密な連携を継続していくことを確認し閉会されました。次回の五極特許庁・ユーザ会合は2020年6月に中国の四川省(成都)で開催される予定です。
  4. 第9回国際知的財産および産業セキュリティカンファレンス(6月14日)
     韓国特許庁およびFinancial Newsの主催によるカンファレンスイベントに、IPO、PPAC、BEとともに、産業界代表として招聘され参加しました。韓国特許長官ほかによるオープニングリマークス、 Gurry WIPO事務局長によるKeynote Speechに続き、上記の各団体から各国における最近のトピックスを紹介するプレゼンテーションが行われ、当協会からは、森国際政策プルジェクトリーダーから 「IP Activities in Future」というタイトルのもと、AI/IOTといった技術の進展がもたらしつつある産業構造の変化および製品・サービス開発の多様化を踏まえて、今後の知財活動の在り方についての考察が紹介されました。後半の部では、データ・情報も含めた知的財産の流通に関する規制あるいは漏出に対する防衛策等について、各分野の専門家による講演・パネルディスカッションが行われました。
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