国際活動

WIPO PCT作業部会(第13回)への参加

 スイス・ジュネーブのWIPOにおいて、2020年10月5日から10月8日にかけて第13回PCT作業部会(PCT-WG)が開催されました。PCT-WGは、PCT総会に提案すべき議題を、加盟国の政府、国際機関代表、およびユーザー団体が一堂に会して事前に協議する国際会議で、2008年より開催され今年で13回目になります。
 今年はコロナ禍の影響により、現地参加に加え、オンライン参加も併用のハイブリッド形式で実施されました。例年、JIPA国際第2委員会は現地に委員を派遣し、議場においてオブザーバーとして意見発信を行ってきましたが、今年度は今井国際第2委員長(栗田工業)、橋本国際第2委員(三井化学)がオンラインにて参加しました。
 今回のPCT-WGは、オンライン参加者の時差の問題があるためか、議題数は例年の半分以下となり、また例年は終日の会議となるところ、1日あたり2時間に限定した会議となりました。そのような状況に鑑みて、今回のPCT-WGへの参加にあたっては、当日の意見発信の機会をいただけるか不明であったため、事前に以下の議題に対する意見をGurry事務局長(9月30日時点)宛てに発信し、会議の中でご検討いただけるよう要望を入れました。

議題:PCT国際段階における補充国際調査制度(SIS)の存続について

 PCT国際段階における補充国際調査制度(SIS)は2009年から導入された制度であり、以降、利用状況を見て制度の改善を図ってきたものの、利用数は50〜100件程度にとどまっており、行政コストに見合うニーズに課題がありました。今回は、本制度の存続について、廃止も含め検討されました。
 JIPAからは、利用状況に鑑み、現行の制度の必要性について疑問は残るものの、ユーザーにとっては国際調査機関(ISA)以外の判断を参照する貴重な機会であり、直ちに廃止するのではなく、さらなる制度の改善について検討して欲しい旨の意見発信を行いました。
 JIPAからの提案内容は以下の2点です。
  • 補充国際調査機関(SISA)として他庁、特に五大特許庁(IP5)が参画することを期待する。現状、IP5のうちSISAはEPOのみであり、EPOへのSISAの指定が多い状況にある。他のIP5が参画することで、SISへのニーズは高まるものと期待される。
  • PCT協働調査(PCT CS/E)のレビューを踏まえ、SISの存続を検討して欲しい。PCT CS/EがSISの代わりに機能するかどうかについて検討されたい。

 同様の意見は他の庁からもあり、議事録にはJIPA意見に沿う内容のサマリーが記載されました。SISについては当面は廃止されず、2027年より前に再度レビューを行うことが決議されました。JIPAとしては、望ましい結果に落ち着き、意見発信の甲斐があったものと考えます。

 今回は事前の意見発信とオンラインでの参加となりましたが、コロナ禍が去ったあかつきには、是非またジュネーブにて会議に参加し、口頭での意見発信を通して日本のユーザーの声を届けるとともに、参加者との交流も含めJIPAのプレゼンスを高められるようにしたいと思います。

*議長サマリーについては、以下URL参照
https://www.wipo.int/edocs/mdocs/pct/en/pct_wg_13/pct_wg_13_14.pdf

以上

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