国際活動

2022年商標五庁(TM5)会合ユーザーセッションへの委員派遣

 2022年10月26日(水)、ベルギー ブリュッセルで開催された日本・米国・欧州・中国・韓国の商標五庁(TM5)会合のユーザーセッションに商標委員会が参加しました。
 本会合は、TM5が取り組んでいるプロジェクトや共通テーマについてユーザー団体と意見交換を行い、商標制度・運用の改善およびユーザーフレンドリー・ハーモナイゼーションの促進を目的としているもので、今年で10周年を迎えます。参加団体は、JPO、USPTO、EUIPO、CNIPA及びKIPOの各国商標所管官庁と、WIPO、JETRO、各国・地域のユーザー団体です。
 本会合は、2020年、2021年は新型コロナウイルスの影響でオンラインでの開催でしたが、昨今の渡航制限緩和によりハイブリッド方式の開催となりました。商標委員会からも3年ぶりに現地派遣が実現し、田中副委員長(サカタのタネ)、小林副委員長(富士通)の2名を現地に派遣しました。また、同委員会メンバー10名もオンライン参加しています。
 現地では、両副委員長から、日本のユーザー代表としてプレゼンテーションを行うとともに、各庁のプレゼンテーション・テーブルディスカッションでも各庁との意見交換を行い、JIPAの意見を強く、明確に伝えることが叶いました。加えて、ユーザーセッション翌日は欧州のユーザー団体と意見交換を行うことができ、有意義な参加であったことをご報告いたします。
  • 左から、現地参加した小林副委員長、田中副委員長
  • ユーザーセッション全体写真

■JIPAプレゼンテーション概要

  • テーマは、テレワーク、メタバース・NFT関するもので、JIPAから以下の意見発信を行いました。
  • テレワークに関しては、JIPA東西部会でのアンケート結果に基づき、日本企業の知財部門の約9割でテレワークが定着していることを紹介。各国の庁手続きの電子化を更に促進してもらうため、日本企業がテレワーク環境下での各庁とのコミュニケーションに強い関心があり、特にJPOのハイブリッドワークへの取り組みを評価していることを説明しました。
  • メタバース・NFTに関しては、まず、以下の問題提起を行いました。

    悪意のある第三者が仮想空間で仮想化された製品をブランド所有者の許可なく販売等した場合に現行の法制度で対応可能か。

    ブランド所有者は、仮想空間でブランドを保護するために、その権利を国際分類第9類(ソフトウェアなど)に拡大する必要性があるか。

  • 上記の問題提起をした上で、メタバース・NFTについて早期な見解提示を要望しました。また、法制度の国際的な調和が重要であるため、これを実現すべくユーザーと意見交換しながらTM5の各庁がメタバース・NFTに関する世界的な議論をリードするよう要望しました。
  • さらに、メタバースやNFTの市場成長のためには、IT企業やデジタルプラットフォーマーにとっての環境整備も必要であることを説明し、メタバースを支える技術ブランドや仮想空間を象徴するようなコンセプトブランドも、適切に保護できるようになることを期待していることを伝えました。具体的には、使用宣誓書や不使用取消審判の場面で、インターネットや仮想空間上での商標の使用について、使用証拠として柔軟に判断することを要望しました。
  • 田中副委員長によるプレゼンテーション
  • 小林副委員長によるテーブルディスカッション
    でのスピーチ

■テーブルディスカッションでのJIPA意見概要

  • 商標五庁では、各庁が担当してリードする複数の協力プロジェクトに取り組んでいます。これらの中からいくつかのプロジェクトがテーブルディスカッションのテーマとして挙げられ、JIPAからは以下の意見発信を行いました。
  • TMviewプロジェクト (リード庁:EUIPO)   自社業務において頻繁にTMviewを使用しており、十分に完成された検索ツールとして、高く評価していることを表明。また、日本や中国、韓国で採用されている指定商品・役務の類似群コードが閲覧しやすくなるとより利便性が向上する旨を説明しました。
  • 悪意の商標出願プロジェクト (リード庁:JPO)
     悪意の商標出願プロジェクトでの取組において、知財庁向け普及啓発セミナーが開催されていることについて、ユーザー向けにもセミナーを開催することを要望しました。またユーザーとしては悪意の商標は権利化される前に拒絶されることが理想であるため、知財庁向けにセミナーを開催する際には、各庁が主体的に悪意の商標を拒絶するよう要請することを希望しました。
     さらに、中国の情報提供制度について、中国で悪意の商標出願への対策が強化されていることを評価しつつも、依然として悪意の商標出願が存在し、異議申立や無効審判を余儀なくされている状況を踏まえて、悪意の商標出願に関する情報をいつでも提供できるようにし、その情報提供に基づき、審査官が職権で拒絶・無効化するような制度を整備するよう要望しました。
     なお、時間の関係でアジェンダが省かれ、口頭での発言はできなかったものの、悪意の商標プロジェクトを主導するJPOに対して、商標代理人への規制強化や、外国周知・著名商標の保護について文書にて要望を提出しました。
 商標委員会では、新型コロナウイルスの影響で働き方が変化する中でも、JIPA加盟各企業にとって利便性が高い商標制度になるよう引き続き意見発信や政策提言を進めます。
 併せて、他のユーザー団体との連携を図りながら、各プロジェクト等への意見表明や説明を通し、JIPA加盟各企業にとって有益なものになるよう導くとともに、TM5の発展及び商標業界でのJIPAのプレゼンス向上への寄与を図りたいと考えます。

(参考)特許庁ホームページにおける紹介記事
https://www.jpo.go.jp/news/ugoki/202211/2022110902.html

以上

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