国際活動

第8回ID5年次会合ユーザーセッションへの参加

 2022/10/28(金)、ベルギー・ブリュッセルにて開催された、意匠五庁(ID5)会合(WIPOはオブザーバ参加)のユーザーセッションに、意匠委員会より現地参加にて開道副委員長(カシオ計算機)、林副委員長(本田技研工業)の2名、およびオンライン参加にて意匠委員10名が参加しました。
  ID5会合は、世界の8割以上の意匠登録出願を扱う日本国特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、欧州連合知的財産庁(EUIPO)、中国国家知識産権局(CNIPA)、韓国特許庁(KIPO)の五庁によって年2回開催されています。本会合は意匠五庁のみが参加する年次会合と、意匠五庁と各国ユーザーが参加するユーザーセッションの2部で構成されており、意匠委員会が参加したユーザーセッションは、今後の意匠保護に関する国際協力の強化、法制度と実務の国際調和、ユーザーの利便性の向上を目的として、ID5が取り組んでいるプロジェクトに関する質疑応答やユーザー団体からの意見発信が行われます。
 今回のID5会合ユーザーセッションでは、「新技術の各国意匠所官庁および産業に与える影響」として、ハイブリッドワークおよびメタバース等の新技術に関する意匠権保護をテーマに五庁とユーザーとの間で活発な意見交換が行われました。意匠委員会は議題の一つであるハイブリッドワークに関し、意匠五庁に対して意匠委員会参加企業におけるハイブリッドワークの課題を提示するとともに、出席する意匠五庁に対して、更なる書類の電子化対応促進についての要望を発信しました。また、同じく議題の一つである新技術に関しては、新技術の中でも特に意匠委員会参加企業にて関心の高いメタバースに着目し、意匠五庁に対して意匠委員会の参加企業各社が抱くメタバースの意匠権保護に関する課題を共有するとともに、出席する意匠五庁に対して、メタバース環境の仮想商品等に対する意匠保護について、制度改正にあたって国際協調の尊重を求めること、ユーザー意見を取り入れる形での制度改正検討を進めることについて要望を発信しました。
 他国のユーザーからは、新技術についてJIPAと同様にメタバースにおける意匠保護について度々言及されるとともに、メタバース以外にも5庁統一フォーマットのAIベースのデザインサーチシステム導入など、幅広い意見が挙げられていました。これら課題・要望に対する明確な回答は意匠五庁側からは得られなかったものの、本会合で挙がったユーザーの意見は真摯に受け止め、共通意匠実務の作成に向けて努力していくとの意匠五庁側からの発言もあり、ユーザー側にとってより利便性の向上が参加各国において進むものと期待されます。
来年度のID5会合は韓国での開催が決定されています。JIPAとしては他国のユーザーと意見交換を実施するとともに、各業界団体とも連携を図り、権利者側にとって有益な法改正となるよう働き掛けを進めていきます。

以上

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