国際活動

第8回三極ユーザー会議報告

11月7日、米国ワシントンDCにおいて第8回三極ユーザー会議が開催されました。今回の会議は米国のIPOが主催し、日本のJIPA、欧州のBusinessEurope、米国のAIPLAが参加しました。

会議では、まず、これまで三極ユーザーと三極特許庁が精力的に進めてきた明細書様式の統一について議論し、書式上の相違点として、米国のNational Legends(分割出願、継続出願等の優先日の記載)や、公知資料の記載を明細書中に行うか情報開示書類として別に行うのか、クレームやアブストラクトの参照符号の有無等、統一できない部分も残るものの、大枠としてユーザーの意見が反映された書式となったことを確認しました。今後は、クレームを2パーツとするか、複数従属クレームの扱い、発明の単一性要件、他文献の参照の扱い等、実体に踏み込んで明細書の書式統一を行うべきとのことで、そのためのワーキンググループを作ることを話し合いました。

次に、三極に出願された発明について、まず第一国特許庁がサーチを行い、その結果を第二国特許庁が利用すると共に、調査結果についてのコメントを第一国特許庁にフィードバックする調査統一について議論しました。ここでは、特に第一国特許庁の調査機関に関して、日本特許庁のように審査請求制度を有する機関と、欧州特許庁のように審査に先立ちサーチを行う機関との差異が議論され、調査機関は出願人が請求してから12ヶ月以内が望ましいと話し合いました。また、調査統一に向けての日本特許庁の動きや、日米審査ハイウェイに関する日本企業の反応について、JIPAから現状を説明しました。このJIPAからの説明を受け、米国側でも審査ハイウェイに関する米国企業の反応を調べることになりました。その後、調査統一に向けた第1歩としてサーチレポートの書式統一をどうするかを議論し、PCTの書式が望ましいが、サーチレポートを発行しない日本特許庁において拒絶理由通知書との整合がとれるかどうか、JIPAが特許庁と打合せをすることになりました。また、将来的には調査統一を進めるためにデータベースの共用や調査方式の統一を三極特許庁に求めるべきであると話し合いました。

他に、米国でのルール変更が裁判所の仮処分で差し止められた経緯や今後の予測、及び米国議会に提出されている特許法改正法案の扱いについてIPO及びAIPLAから説明があり、最後に、次回の三極ユーザー会議はBusinessEuropeが主催して2008年4月2日、3日に開催することを決めて会議を終了しました。

なお、三極ユーザー会議の翌日(11月8日)に米国ワシントンDCにて三極特許庁協力25周年記念シンポジウムが開催されましたが、この中の“Perspectives of Owners and Advocates on Trilateral Cooperation”と題するセッションにおいて、JIPAの内藤常務理事がJIPAを代表してプレゼンを行うと共にディスカッションに参加しました。会場における評価も非常によく、JIPAの特許制度の国際ハーモナイゼーションに対する積極的な取り組みが聴衆に十分に理解されたことと思います(本シンポジウムのプログラムおよび内藤常務理事のプレゼン資料については、以下のリンク先をご覧下さい)。

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