国際活動

FICPI/AIPLA Colloquium 2012 on “What is a Quality Patent Application?” への委員派遣

 ポーランド/ワルシャワのLE MERIDIEN BRISTOLホテルにおいて、2012年9月20日、21日の両日に、FICPI(国際弁理士連盟)およびAIPLAが主催する国際会合が開催され、いずれの立場の実務者にとっても興味の高いトピックである「特許出願の質」について建設的な発表と議論が活発に交わされました。

 今回の会合には、各国の政府・国際機関、ユーザ団体からの代表、弁理士、知財弁護士、裁判官等が、22カ国から参加しました。日本知的財産協会(JIPA)が日本ユーザ代表として参画し、三極ユーザー/特許制度調和推進委員会の金平委員(日本アイ・ビー・エム)を派遣し、日本産業界の意見表明を行いました。

 今回の会合は、(1) 特許庁の視点からの特許出願の質の定義、(2) ユーザの視点からの特許出願の質の定義、(3) ユーザが直面する審査の質の問題、(4) 質の高い特許出願のためのトレーニング、(5) 質の低い特許出願が裁判に与える影響、(6)国際的調和の欠如が発明の保護に与える影響、(7) 特許出願の質が特許の価値に与える影響、(8) 特許出願の質とPPH (Patent Prosecution Highway) をテーマとする7つのセッションからなり、各セッションにおいて3〜4の発表と、パネルディスカッションが持たれました。

 JIPAからは、特に、(3) ユーザが直面する審査の質の問題 のセッションにおいて、発表およびパネルディスカッションに参加し、各国特許庁における記載要件に関するルール/ガイドラインの相違、および、審査官によるそれらの適用の厳格性の相違に起因する審査においてユーザが直面する問題を指摘しました。そのような問題は、第一庁で記載要件を充足するとされたと同等の内容を持つPPH申請された出願が第二庁において数多く記載要件に基づく拒絶理由通知を受領している等の形で顕著に生じていることも指摘しました。そのうえで、共通出願様式(Common Application Format)が主要特許庁で採用されたこのタイミングに、明細書の記載について、さらなるユーザの利便性の向上、特許庁のワークシェアリングのために、各国特許庁での記載要件の実務の国際的調和をいっそう進めるべきことを表明しました。

 なお、PPH申請された出願が第二庁において数多く記載要件に基づく拒絶理由通知を受領していることは、(8) 特許出願の質とPPH セッションの日本国特許庁の発表においても指摘がなされており、今回の会合の参加者の間でこのような現象が生じていることの共有がなされました。

 今後もJIPAからは、上記を含む諸問題を解決し、ユーザの利便性を向上させるために、世界から期待され、世界をリードするユーザ団体としての意見を表明していく所存です。

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