「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 75巻(2025年) / 7号 / 909頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 106) |
論文名 | (No. 106) [米国]シェブロン法理の終焉に関する米国連邦最高裁判決 |
著者 | 岸本芳也 |
抄録 | 米連邦最高裁は2024年6月28日、Loper Bright事件における判決において、40年前に確立された「シェブロン(敬譲)法理」を無効化する判決を下した。シェブロン法理は、法律の規定が曖昧な場合、行政機関の合理的で許容される解釈を裁判所が尊重すべきとする原則だった。しかし、シェブロン法理に基づくと、政権交代の度に行政機関の解釈が変更されることもあり得、また行政機関に過度の権限を与えることにつながれば三権分立の原則を脅かすことにもなりかねないという懸念があった。 Loper Bright事件判決により、裁判所は行政機関の法解釈に対して独立した判断を行使することが求められるようになった。今後は、行政機関の経験や専門性に基づく解釈よりも、裁判所自体の法的解釈に重きが置かれるようになった。本判決は、行政機関の権限や規制のあり方に大きな影響を与え、特に、移民法、金融、環境規制、労働政策をはじめ、知財分野で今後の政策や法解釈の動向が注目されている。 |
