「知財管理」誌

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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 72巻(2022年) / 6号 / 757頁
論文区分 海外注目判決(No. 70)
論文名 (No. 70) [米国]明細書に従来技術を具体的改善した記載が 十分あればAliceの第2ステップの検討のみで 特許適格性が認められるとCAFC判決
著者 服部健一
抄録  近年は最高裁も連邦巡回区控訴裁(CAFC)も米国特許法第101条の特許適格主題(特許適格性)を認めない判決が多い傾向にあるが、本稿で紹介するCosmoKey判決1)はCAFCがクレームと明細書の記載からAliceの第1ステップの分析は必要なく、第2ステップのみの分析で発明的概念をもたらしていると理解出来、特許適格主題であると認めた異例ともいえる判決である。
 連邦地裁は本件特許のクレーム発明は移動体通信装置における利用者の単なる認証なのでAliceの第1ステップでもAliceの第2ステップでも発明的概念をもたらしていないため特許適格主題ではないと訴答判決した。
 その控訴で、CAFCは、クレームそして明細書の具体的記載を多数引用して本件特許はコンピューターで実行される認証技術の具体的な改善を記載しているので、Aliceの第1ステップを検討するまでもなく、Aliceの第2ステップの発明的概念を示しており、特許適格主題であると逆転判決した。
 明細書中の具体的記載を非常に多く引用して逐一発明の有用性を説明しているので明細書を作成する上で役に立ち、且つ第2ステップの重要性を示しているので特許適格主題はその分認められ易くなる可能性を示しているとも考えられる。
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