「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 75巻(2025年) / 7号 / 785頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許権侵害と消滅時効 |
著者 | 瀬戸一希 |
抄録 | 特許庁は、現在、ネットワーク関連発明に関する国際的な事業における特許権の保護に向け、特許法改正の議論を進めている。この動きは、「DX時代にふさわしい産業財産権制度」の構築の一環として位置付けられている。DX時代の特許紛争は、越境的に展開される特徴を有する、最新のネットワーク技術に関連する事業を念頭に置く必要がある。 他方で、特許権侵害訴訟における、損害賠償請求権の消滅時効の起算点に関する判断では、事業の国際性や、技術の特徴または性質が考慮される場合がある。すると、上記の特徴を有するDX時代の特許紛争では、消滅時効が争点となる場合も想定される。しかし、消滅時効の起算点を争点とした特許権侵害訴訟の裁判例は、その結論が事案ごとの判断によるとされ、十分に検討がされていない。こうした状況にある、DX時代の特許紛争を検討するための道具立てとして、本稿は、一連の裁判例から、その考慮要素について整理し、判断構造を分析する。 |
