「知財管理」誌

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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 75巻(2025年) / 12号 / 1643頁
論文区分 論説
論文名 権利不行使条項の法的性質と実務上の留意点─第三者対抗と権利消尽の場面を中心に─
著者 服部 誠/高岸 亘/佐藤健太郎
抄録  日本では、特許権者が特定の第三者との間で特許権を行使しない旨を約する権利不行使の合意は通常実施権の許諾と法的性質が同一であるとの見解が有力である。しかし、平成23年特許法99条改正により導入された通常実施権についての第三者対抗力を権利不行使の合意にも認めてよいか議論がある。また、通常実施権が許諾されたときの許諾製品に対する権利行使が消尽により否定されるのと同様に特許権の消尽を認めてよいかどうかも疑義のあるところである。本稿ではまず、日本、米国、ドイツ及び中国における通常実施権の許諾と権利不行使の合意の法的性質に関する議論を示す。その上で、第三者対抗と権利の消尽の場面を中心に、権利不行使の合意は通常実施権の許諾と同様に規律されるかという問題に関する現時点での裁判例や学説を整理し、最後に、契約書をドラフティングす
る際の実務上の留意点について若干の考察を行う。
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