「知財管理」誌

「知財管理」誌 検索

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 75巻(2025年) / 7号 / 895頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No. 564)
論文名 (No. 564) 引用発明に内在する自明な課題の認定及び独立した複数の相違点についての容易想到性の判断─電動式衝撃締め付け工具事件─
著者 矢倉雄太
抄録  特許の無効が認められた本裁判例は、特許の無効を主張する当事者にとって、主引用発明への副引用発明の適用の動機づけがあることを論理的に主張するに際し、主引用発明に内在する自明な課題の重要性を示唆するものであり、また「容易の容易」の問題を回避するために、相違点の認定が重要となることを示唆する好事例である。本裁判例や従前の裁判例の傾向に鑑み、当該当事者としては、主引用発明と副引用発明の適用の動機づけを論理的に説明するうえで、課題の共通性に十分着眼しつつ、明細書に記載がない場合には、出願時の技術水準に基づいて自明な課題が認められないか、同課題の共通性を主張できないかを検討すべきである。また、「相違点」を主張する際は、複数の独立した構成が一つの相違点としてまとめられることであたかも2段階の判断が必要であるかのように認定されないよう、十分な配慮が必要である。
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.