「知財管理」誌

Vol.46 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 46巻(1996年) / 6号 / 949頁
論文区分 判例と実務シリーズ
論文名 No.219 仮処分の申立てと不法行為の成否
著者 岩坪哲
抄録 侵害行為の中止を申し入れても相手方が応じない場合、差止の仮処分は、迅速に侵害を停止させるための有用な法的手段である。しかしながら、仮処分決定後、当該権利が特許庁において無効となり原決定が取り消された場合に、逆に、相手方は、仮処分によって受けた侵害の回復を権利者側に求めることとなる。権利者側にとっては、少なくとも仮処分申立時には権利は有効に存在していたのだから常に損害賠償責任を負うのか、責任を逃れる場合があるのかが大きな問題となる。ポイント、権利者側に過失があったか否かである。本件は、一般的事件において再考裁判所が示した判断基準をもとに、仮処分が取り消された場合には、他に特段の事情がない限り、申立時の過失が推定されるとした。この場合の「特段の事情」とは何か、につき検討を試みる。同様の裁判例は、過去にもいくつか存在するが、何れも権利者側に厳しい内容となっている。
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