「知財管理」誌

Vol.46 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 46巻(1996年) / 9号 / 1431頁
論文区分 判例と実務シリーズ
論文名 No.223 「表示紙」事件
著者 佐尾重久、後藤憲秋
抄録 本事案では、対象物件(ロ号事件)が本件発明に規定されない着色ポリエチレン層(隠蔽層)を有しており、この着色ポリエチレン層の介在が争点となった。単純に図式化すると、本件発明の積層体(P)=a+b+c+dのときに、対象物件の積層体(Q)=a+e+b+c+dが侵害になるかどうかというケースである。また、本事案は、対象物件が本件発明の出願当時存在しなかった葉書等に用いる隠蔽紙に係り、このような新規物を事後的に権利範囲に取りこむことができるかという興味深い問題を内包している。大阪地裁は、クレームの構成要件解釈によって特許権者の請求を棄却したのであるが、発明の利用に関する原告の主張に対して、対象物件が本件発明と「質的に異なる技術しそうに基づくものである」とし、なお書きで「本件特許発明の出願時には、原告は葉書用の隠蔽紙を認識していなかった」と判示している。
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