「知財管理」誌

Vol.47 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 47巻(1997年) / 1号 / 5頁
論文区分 特集(法改正と知財管理)
論文名 特許後異議申立制度の意義とその活用
著者 園田敏雄
抄録 平成6年の法律改正によって、出願公告制度並びに異議申立制度を廃止し、合わせて特許後の異議申立制度を新設した。
この改正によって、特許異議申立を経ることなく出願が登録されることになった。このことは、特許を取得する側からすれば喜ばしいことであるかも知れないし、他方、公知の技術及びこれに基づいて当業者が容易に発明することができた技術(公共の技術と化したもの)を自由に実施する権利を有する公衆の立場からすれば、異議申立制度が従前よりも影の薄いものになった感がするかも知れない。また、合わせて、明細書の発明の詳細な説明の記載、特許請求の範囲に記載すべき事項についての要件が緩和されたと大方が理解していることからすれば、特許権の不安定性、及びその技術的範囲の不確かさが増して行くことを心配する向きもあろう。しかし、異議申立制度が従前よりも影の薄いものになったと考える必要はなく、特許後異議申立制度を節度を持ちつつ積極的に活用して、上記のような心配を可及的に低減するように努めることがむしろ必要なのである。
この異議申立制度の活用と、期待される対応について筆者が思うところを述べてみたい。これが、特許後の異議申立制度の特許制度上の意義とその活用について読者諸兄姉が改めて考えてみる契機となれば幸いである。なお、出願登録は審査と拒絶査定不服審判においてなされ、この両者とも当該異議申立の対象となるので、本稿において「審査」は拒絶査定不服審判における自判をも含むものとご理解戴きたい。
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