「知財管理」誌

Vol.49 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 49巻(1999年) / 6号 / 729頁
論文区分 特集(マルチメディアと法的保護―新領域を中心に―)
論文名 インターネット時代の知的財産法
著者 相澤英孝
抄録 コンピュータ技術の発達は、現代社会を根底から変えようとしている。コンピュータ技術の発達を背景にインターネットが生まれ、情報の流れが大きく変わってきた。これまでは、情報はマスメディアなどの限られた送り手から一方的に送られていたが、コンピュータ技術の発達は情報の発信を容易なものとするとともに、メッセージの作成、編集、加工、伝達などをも容易なものとすることによって、誰でもが、どこからでも、情報の送り手となる社会に変えている。知的財産法は二つの側面で、インターネットと関連している。一つは、インターネットの基礎をなす技術の保護という側面であり、一つは、インターネット上を流通する情報の保護という側面である。インターネットはコンピュータの技術的な発達の上に成り立っているがコンピュータ・ソフトウェアの新技術を開発した者は特許法と著作権法で保護される。この保護に関してはこれまでさまざまな議論がなされてきているが、未だ、未解決の問題も多い。そして、コンピュータ・ソフトウェアはインターネット上で実現され、インターネット上を流通することについての検討は進んでいない。インターネットを流通する情報については、これまで著作権法で保護されている情報が新たな情報関連技術に直面して生じた問題と、従来は著作権法で保護されていない情報がインターネット上を流通することによって生じた問題がある。さらに、情報関連技術の発達と著作権法の保護の強化によって、著作権法が情報の流通に与える影響が大きくなり、著作者の権利の保護と情報の自由な流通という社会的な利益との調和が必要となっている。また、インターネットにおいて使用される商標についても、商標の付される商品やサービスの流通が地理的な制約から解放、商標に関する法制度の前提が変わってきた。
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