「知財管理」誌

Vol.49 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 49巻(1999年) / 9号 / 1297頁
論文区分 資料
論文名 知的財産権に対する裁判外紛争処理(ADR)の活用(その2)(完) ―社団法人国際商事仲裁協会における仲裁の現状―
著者 藤井昌子
抄録 1953年に民法34条に基づく社団法人として設立された国際商事仲裁協会(以下協会)は、国内外の商取引における紛争の解決に資することを目的に、仲裁をはじめ調停、斡旋といった代替的紛争解決手段の提供、国際事業・国際取引に関する相談および情報の提供を行ってきた。協会は、また、世界各国の約40の仲裁機関と協力協定を締結し、連携を図るとともに、わが国の仲裁に関する情報の発信に努めてきた。協会設立後、世界経済は急激に国際化し、そこから生じる紛争も多様化・複雑化する傾向にある中、これらの紛争の有効な解決方法と位置付けられる仲裁は、高度な専門的・技術的問題にも対応できることから、特に、知的財産に関する紛争においては、利用価値が高いものといえる。これまで、わが国における仲裁の利用は、世界の諸外国に比べると低調であるといわざるを得ない状態にあったが、近い将来予定されている仲裁法の改正や、近年の各地弁護士会仲裁センター、工業所有権仲裁センター等の相次ぐ設立により、今後、仲裁に対する関心の高まりが予想される。以下においては、協会が扱った仲裁事件のうち、特に最近5年間の統計を紹介し、協会の仲裁の現状を報告する。
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