「知財管理」誌

Vol.52 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 52巻(2002年) / 7号 / 941頁
論文区分 論説
論文名 職務発明についての権利の帰属と相当な対価額の決定に関する法律上の問題点
著者 高林龍
抄録 昨年(2001年)5月、オリンパス光学工業の元研究者が、CD装置の職務発明に関する権利を会社に承継した対価の内金として2億円の支払いを求めた裁判の控訴審判決が、東京高裁で言渡された。また、同じく8月には日亜化学工業の元研究者が、青色発光ダイオードの職務発明に関する権利を会社に承継した対価として20億円の支払いを求める旨の裁判が、東京地裁に提起された。両事件はマスコミでも大きく報道され、これを契機に研究者側や企業側から様々な意見が表明されており、両者の意見には合致点がないように見える。しかし、企業内研究者に発明への誘因を与えることと、その成果を企業が有効に活用できることは車の両輪であって、双方が納得できる運用が望まれるところである。本稿では、職務発明に関する基礎知識を踏まえて、前記オリンパス光学工業事件の東京高裁判決を一つの素材として、使用者及び従業者の双方が納得できる、職務発明についての権利承継の対価額の決定方法を検討し、私見を述べる。
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