「知財管理」誌

Vol.58 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 58巻(2008年) / 1号 / 5頁
論文区分 論説
論文名 米国特許法における非自明性:KSR最高裁判決の歴史的意義
著者 竹中俊子
抄録 米国連邦最高裁は、注目のKSR判決において、連邦巡回控訴裁判所の非自明性要件に関する先行技術に開示される発明の構成要素の組合せ又は改変に関する教示・示唆・動機付けを求めるTSMテストの適用の仕方が厳格すぎると批判しながら、テスト自体は適法とした。本件の上告審理では、非自明性基準を規定する103条の導入で葬り去られたはずの公知構成要素の組合せ発明に対する差別的取り扱いの是非が問われたため、KSR判決は103条導入の歴史的意義を問うものであったにも拘わらず、この問題にも最高裁は明解な指示を与えてはいない。そのため、KSR判決が今後のCAFC判例法の発展に与える影響については予測が困難である。本稿では、KSR判決の経緯と判旨、103条導入の沿革を紹介し、その歴史的意義を考察し、判決後に出されたCAFC判決、USPTO審決及び改正審査基準を参考に、今後の実務への影響について検討する。
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