「知財管理」誌

Vol.63 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 63巻(2013年) / 7号 / 1107頁
論文区分 判例研究(続・No.17)
論文名 (続・No.17) 侵害による利益を損害額と推定する特許法102条2項の適用の要件と推定の覆滅の可否─ごみ貯蔵機器事件─
著者 田村善之
抄録 本判決は、ごみ貯蔵機器にかかる特許権の侵
害事件において、侵害者が侵害製品を輸入販売
しているのに対し、原告特許権者が総代理店で
ある訴外会社を通じて原告製品を輸入販売して
いたという事件で、特許法102条2項の推定は
「特許権者に、侵害者による特許権侵害行為が
なかったならば利益が得られたであろうという
事情が存在する場合」であれば適用されると判
示し、特許権者において特許発明を実施してい
ることを要しないことを明らかにした知財高裁
の大合議判決である。また、推定の覆滅に関し
て、侵害製品と原告製品との間に価格差がある
とか、競合品が他に存在すると主張されていた
にもかかわらず、推定を全額において維持した
点も特徴的である。今後は、いかなる場合に判
旨のいう推定の要件が充足されるのか、いかな
る場合に推定の(一部)覆滅が認められるのか
ということが問題となると思われる。
<参照条文> 特許法102条2項
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